今回は、ビジネスで使える心理学的テクニック10選を紹介します。
これらのテクニックを活用することで、顧客や従業員との関係を改善したり、成果を上げたりすることができます。
是非、参考にしてください。
1.ビジネスで使える心理学的テクニック10選
心理学は人間の心や行動を科学的に研究する学問ですが、その中にはビジネスの現場で活用できる知識やテクニックがたくさんあります。
ここでは、ビジネスで使える心理学的テクニックとして、10個を取り上げてみました。
それぞれのテクニックの特徴やメリット、実践的な例をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
①ミラーリング
ミラーリングとは、相手の行動や言動を真似ることで親近感や信頼感を生み出すテクニックです。
人間は自分と似たり寄ったりの人に対して好意を持ちやすいという心理があります。これを類似性の法則と呼びます。
また、相手と同じように動いたり話したりすることで、相手との一体感や共感を高めることができます。これをラポール効果と呼びます。
ミラーリングは、営業や交渉などで相手と仲良くなりたい場合に有効です。例えば、
- 相手の話し方や表情やしぐさを観察して、自分も同じように話したり笑ったりしたりすることで、相手との距離感を縮めることができます。
- 相手の言葉や言い回しを反復して使ったり、相手の話に共感したり賛成したりすることで、相手との意思疎通をスムーズにすることができます。
- 相手の呼吸や姿勢や動きに合わせて自分も同じように呼吸したり姿勢を整えたり動いたりすることで、相手との一致感や協調性を高めることができます。
②単純接触効果(ザイアンス効果)
単純接触効果とは、広告や商品などを何度も見せることで好感度や記憶度を上げるテクニックです。
人間は慣れ親しんだものに対して好意を持ちやすいという心理があります。これを熟知性の法則と呼びます。
単純接触効果は、マーケティングやプロモーションなどで顧客の認知を高めたい場合に有効です。例えば、
- 広告やロゴなどを何度も目につく場所に掲示したり配布したりすることで、顧客の記憶に残るようにすることができます。
- 商品やサービスなどを無料体験やサンプルなどで何度も試してもらったり紹介したりすることで、顧客の評価や信頼を高めることができます。
- メールマガジンやSNSなどで定期的に情報やコンテンツを提供したり交流したりすることで、顧客の関心や忠誠度を高めることができます。
③フット・イン・ザ・ドア・テクニック
フット・イン・ザ・ドア・テクニックとは、小さなお願いから始めて段階的に大きなお願いをするテクニックです。
人間は自分の行動に一貫性を持ちたいという心理があります。これを一貫性の原理と呼びます。一度小さなお願いに応じた人は、その後の大きなお願いにも応じやすくなります。
フット・イン・ザ・ドア・テクニックは、セールスや交渉などで相手に合意を得たい場合に有効です。例えば、
- まずは無料でお試しいただけませんかと言って、商品やサービスの利用を促すことで、その後の有料プランへの移行を容易にすることができます。
- 少しでも興味があればお電話くださいと言って、相手の連絡先を入手することで、その後のアポイントメントや契約への道筋をつけることができます。
- このアンケートにご協力いただけませんかと言って、相手の意見や情報を聞き出すことで、その後の提案や提供に活かすことができます。
④ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック
ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックとは、大きなお願いから始めて断らせた後に小さなお願いをするテクニックです。
人間は相手に何かをしてもらったり断られたりすると、その分だけ返そうとする心理があります。これを返報性の心理と呼びます。
一度大きなお願いを断った人は、その後の小さなお願いに応じやすくなります。
ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックは、セールスや交渉などで相手に譲歩をさせたい場合に有効です。例えば、
- 10万円の寄付をお願いしますと言って断られた後に、それでは1万円でもいかがですかと言うことで、相手の罪悪感や譲歩感を利用して寄付を募ることができます。
- この商品は今日限りで半額ですが、どうですかと言って断られた後に、それでは明日まで延長しますが、どうですかと言うことで、相手の感謝感や期限感を利用して購入を促すことができます。
- このプロジェクトに参加してくださいと言って断られた後に、それではこのレポートだけでも書いてくださいと言うことで、相手の協力感や責任感を利用して仕事を依頼することができます。
⑤ハード・トゥ・ゲット・テクニック
ハード・トゥ・ゲット・テクニックとは、「特別に」や「あなただけに」という言葉を使って相手の自己重要感や承認欲求を刺激するテクニックです。
人間は自分が他人から選ばれたり評価されたりすることで自尊心が満たされる心理があります。これを希少性の原理と呼びます。
ハード・トゥ・ゲット・テクニックは、営業やマーケティングなどで相手の関心や購買意欲を高めたい場合に有効です。例えば、
- この商品は限定品で、今日までしか販売していません。特別にあなたにおすすめしますと言うことで、相手の独占欲や焦りを利用して購入を促すことができます。
- このサービスは会員制で、招待状がないと入れません。あなただけにこの招待状を差し上げますと言うことで、相手の優越感や好奇心を利用して参加を促すことができます。
- このプロジェクトは非常に重要で、選ばれた人だけが参加できます。あなたはその中の一人ですと言うことで、相手の自信や責任感を利用して協力を得ることができます。
⑥初頭効果
初頭効果とは、最初に取得した情報の印象が残り続け、後の評価に影響を与えるテクニックです。
人間は最初に目にしたものや聞いたものに対して強い印象を持ちやすいという心理があります。これをハロー効果と呼びます。
初頭効果は、コピーライティングや営業トークなどで相手に好印象を与えたい場合に有効です。例えば、
- 広告や記事などのタイトルや見出しをキャッチーかつ具体的にすることで、相手の注意を引きつけることができます。
- 商品やサービスなどの紹介や説明では、最初にメリットや特徴を伝えることで、相手の興味や期待を高めることができます。
- 自己紹介やプレゼンなどでは、最初に自分の強みや実績をアピールすることで、相手の信頼や評価を高めることができます。
⑦親近効果
親近効果とは、最後に取得した情報の印象が強く残り、後の判断を左右するテクニックです。
人間は最後に目にしたものや聞いたものに対して強い印象を持ちやすいという心理があります。これをホーン効果と呼びます。
親近効果は、コピーライティングや営業トークなどで相手に強い印象を残したい場合に有効です。例えば、
- 広告や記事などの結びやまとめでは、キーワードやキャッチフレーズを繰り返すことで、相手の記憶に残るようにすることができます。
- 商品やサービスなどの紹介や説明では、最後に割引や特典などのインセンティブを提示することで、相手の購買意欲を高めることができます。
- 自己紹介やプレゼンなどでは、最後に自分の連絡先やアクションプランなどを伝えることで、相手の印象や反応を高めることができます。
⑧サンクコスト効果
サンクコスト効果とは、すでに投じた時間やお金などを惜しみ、中断できずに続けてしまうテクニックです。
人間は自分がすでに失ったものに対して強い執着心を持ちやすいという心理があります。これを損失回避の心理と呼びます。
サンクコスト効果は、セールスやマーケティングなどで相手の購入意思を固めたい場合に有効です。例えば、
- この商品はあと1個しかありません。あなたはすでにこれまでに3個購入していますよね。このチャンスを逃すともったいないですよと言うことで、相手のコレクション欲や完結欲を利用して購入を促すことができます。
- このサービスは今月末で終了します。あなたはすでにこれまでに6ヶ月間利用していますよね。このままやめるともったいないですよと言うことで、相手の継続欲や成果欲を利用して契約更新を促すことができます。
- このプロジェクトはあと少しで完成します。あなたはすでにこれまでに多くの時間と労力を費やしていますよね。このままやめるともったいないですよと言うことで、相手の達成欲や責任感を利用して協力を得ることができます。
⑨アンカリング効果
アンカリング効果とは、最初に提示された数字や情報が基準となり、後の判断に影響を与えるテクニックです。
人間は最初に目にしたものや聞いたものに対して強い印象を持ちやすく、その後の情報に対して無意識的に比較したり影響されたりする心理があります。これを基準化の心理と呼びます。
アンカリング効果は、交渉やプレゼンなどで相手の評価を操作したい場合に有効です。例えば、
- 通常価格は10万円ですが、今なら5万円でお買い得ですと言うことで、相手に10万円が基準価格だと思わせて、5万円が安く感じさせることができます。
- 他社では20万円の商品ですが、当社では15万円でご提供しますと言うことで、相手に20万円が市場価格だと思わせて、15万円がお得感じさせることができます。
- このプロジェクトは1億円の収益を見込んでいますが、それには50万円の投資が必要ですと言うことで、相手に1億円が収益目標だと思わせて、50万円の投資を高いと感じさせないことができます。
⑩プライミング効果
プライミング効果とは、ある刺激を与えることで、その後の行動や思考に影響を与えるテクニックです。
人間は無意識的に自分の記憶や感情やイメージを連想したり刺激したりする心理があります。これを暗示の心理と呼びます。
プライミング効果は、マーケティングやブランディングなどで相手の感情やイメージを操作したい場合に有効です。例えば、
- 「安全」「信頼」「高品質」などの言葉やイメージを提示することで、商品やサービスに対する評価を高めることができます。
- 「赤」「辛い」「熱い」などの言葉やイメージを提示することで、食欲や興奮を刺激することができます。
- 「青」「涼しい」「爽やか」などの言葉やイメージを提示することで、リラックスや清涼感を与えることができます。
2.ビジネス心理学を実践するコツ
ビジネス心理学を実践することで、顧客や従業員の心理を理解し、より効果的なアプローチやコミュニケーションを行うことができます。
しかし、ビジネス心理学は万能ではありません。適切に使うためには、以下の3つのコツを覚えておきましょう。
①顧客や従業員の立場に立って考えることで、より効果的なアプローチをすることができる
ビジネス心理学を実践する際には、自分の立場や目的だけでなく、相手の立場や目的も考えることが重要です。
相手のニーズや感情、価値観、動機づけなどを把握することで、相手に合わせた最適なアプローチや提案ができます。
例えば、
- 営業やマーケティングでは、顧客の購買意欲や行動パターンを分析し、顧客に魅力的なメリットやインセンティブを提示することができます。
- 人事やマネジメントでは、従業員の能力や性格、キャリアプランを把握し、従業員に適した役割や評価、フィードバックを与えることができます。
- プレゼンテーションや交渉では、聞き手の関心や疑問、反論を予測し、聞き手にわかりやすく説明し、納得させることができます。
②科学的な根拠に基づいた情報を活用することで、信頼性や説得力を高めることができる
ビジネス心理学を実践する際には、自分の主張や判断だけでなく、科学的な根拠に基づいた情報も活用することが重要です。
科学的な根拠とは、心理学や脳科学などの研究成果や統計データなどの客観的な事実です。科学的な根拠に基づいた情報を活用することで、
- 自分の主張や判断に裏付けを与えることができます。
- 相手に信頼感や安心感を与えることができます。
- 相手に説得力や影響力を持たせることができます。
例えば、
- 営業やマーケティングでは、顧客の購買行動に影響する心理的要因や消費者行動の傾向 などの研究成果を参考にして、顧客のニーズや動機づけを刺激する方法を考えることができます。
- 人事やマネジメントでは、従業員のパフォーマンスに影響する要因 やモチベーションの向上策 などの研究成果を参考にして、従業員の能力ややる気を引き出す方法を考えることができます。
- プレゼンテーションや交渉では、聞き手の注意や記憶に影響する要素や説得に効果的なテクニックなどの研究成果を参考にして、聞き手に印象や納得を与える方法を考えることができます。
③過度な期待を持たないことで、現実的な目標や計画を立てることができる
ビジネス心理学を実践する際には、過度な期待を持たないことも重要です。
ビジネス心理学は、人間の心理や行動に関する知識や技術を提供するものですが、それだけで全ての問題が解決するわけではありません。
ビジネス心理学を実践することで、
- 人間の心理や行動に関する理解や洞察を深めることができます。
- 人間の心理や行動に関する有効な手段や方法を知ることができます。
- 人間の心理や行動に関する試行錯誤や改善の機会を得ることができます。
しかしながら、ビジネス心理学を実践することで、
- 人間の心理や行動を完全にコントロールすることはできません。
- 人間の心理や行動に関する結果や効果を保証することはできません。
- 人間の心理や行動に関する変化や成長を簡単に達成することはできません。
過度な期待を持たないことで、現実的な目標や計画を立てることができます。また、ビジネス心理学だけでなく、他の知識やスキルも必要だということを忘れないようにしましょう。
おわりに
この記事では、ビジネスで使える心理学的テクニック10選を紹介しました。
これらのテクニックを活用することで、顧客や従業員との関係を改善したり、成果を上げたりすることができます。
しかし、これらのテクニックは万能ではありません。
ビジネス心理学を実践する際には、顧客や従業員の立場に立って考えたり、科学的な根拠に基づいた情報を活用したり、過度な期待を持たないように注意したりすることが重要です。
ぜひこの記事を参考にして、ビジネス心理学のテクニックをマスターしてください。