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2023年の異常気象とスーパーエルニーニョ現象の関係

2023年の異常気象とスーパーエルニーニョ現象の関係 学び

2023年に太平洋赤道域の海面水温が平年より高くなるエルニーニョ現象が発生すると予想されています。

このエルニーニョ現象は、過去最大の1997年のエルニーニョに匹敵するほどの規模になると見られており、スーパーエルニーニョと呼ばれています。

スーパーエルニーニョは、日本を含めた世界各地に様々な異常気象をもたらす可能性があります。

この記事では、異常気象の特徴や原因、影響について、気象庁などの情報をもとに解説します。

1.エルニーニョ現象とは何か?

エルニーニョ現象とは、どのような現象なのでしょうか?どのような影響があるのでしょうか?それでは、見ていきましょう。

①貿易風の弱まりで海水温が上昇する現象

エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の海面水温が平年より高くなる現象です。

通常、太平洋赤道域では、東から西に向かって吹く貿易風が海水を押し流し、東部では冷たい海水が湧き上がります。

しかし、貿易風が弱まると、西部にたまった暖かい海水が東部に流れ戻り、冷たい海水の湧き上がりを阻害します。この結果、太平洋赤道域全体の海水温が上昇します。

この図を見てください。赤色の部分が高温の海水を表しています。エルニーニョ現象が発生すると、赤色の部分が広がります。

[エルニーニョ現象の図]

エルニーニョ現象の図
出典:気象庁 | エルニーニョ現象発生時の世界の天候の特徴 (jma.go.jp)

エルニーニョ現象は、数年に一度不規則に発生する自然現象です。

エルニーニョ現象は、スペイン語で「キリストの子」という意味で、南米沿岸で12月頃に発生することから名付けられました。

エルニーニョ現象は、海洋だけでなく大気にも影響を与えます。

海水温の上昇に伴って蒸発量が増え、雲や降水量が変化します。また、気圧や風向きも変わります。これらの変化は、気候システムに大きな影響を及ぼします。

②2023年はスーパーエルニーニョが発生する見通し

2023年は、過去最大の1997年のエルニーニョに匹敵するほどの規模になると見られており、スーパーエルニーニョと呼ばれています 。

スーパーエルニーニョは、日本を含めた世界各地に様々な異常気象をもたらす可能性があります。

例えば、

  • 北日本は記録的な高温になる可能性があります。
  • 台風や集中豪雨の発生や進路に影響を与える可能性があります。
  • 冬は暖冬になる可能性が高くなります。

これらの異常気象は、農業や漁業などの産業や生活に悪影響を与えるだけでなく、災害や病気などのリスクも高めます。

スーパーエルニーニョへの対策としては、

  • 異常気象による災害への備えと早期避難を心がけること
  • 暑さ対策や健康管理を徹底すること
  • 地球温暖化とエルニーニョ現象の関係について研究を進めること

などが挙げられます。

2.スーパーエルニーニョがもたらす日本の異常気象

スーパーエルニーニョがもたらす日本の異常気象

ここでは、そのエルニーニョ現象が日本にどのような影響を与えるかについて、詳しく見ていきたいと思います。

スーパーエルニーニョは、日本の気候に大きな変化をもたらします。

具体的には、

  • 北日本は記録的な高温になる可能性があります。
  • 台風や集中豪雨の発生や進路に影響を与える可能性があります。
  • 冬は暖冬になる可能性が高くなります。

それでは、それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。

①北日本は記録的な高温に

スーパーエルニーニョが発生すると、太平洋高気圧が強まり、日本付近の気圧配置が変わります。

この結果、北日本では南から暖かく湿った空気が流れ込みやすくなります。また、太平洋赤道域の海水温の上昇によって、大気中の水蒸気量も増えます。

これらの要因によって、北日本では夏場に猛暑日(最高気温が35度以上)や熱帯夜(最低気温が25度以上)が多発する可能性があります。

実際に、過去のスーパーエルニーニョ発生年である1997年や2015年には、北海道や東北地方で記録的な高温になったことがあります 。

高温によって、人体への負担や熱中症のリスクが高まります。また、農作物や畜産物への影響も懸念されます。

高温対策としては、

  • 水分や塩分の補給をこまめに行うこと
  • 日陰や冷房を利用して体温を下げること
  • 睡眠不足やアルコール摂取を避けること

などが挙げられます。

②台風や集中豪雨の発生や進路に影響

スーパーエルニーニョが発生すると、台風や集中豪雨の発生や進路にも影響を与えます。

台風は、海水温が高いと発生しやすくなります。スーパーエルニーニョでは、太平洋赤道域だけでなく、西太平洋や東シナ海などの海水温も上昇します 。

このため、台風の発生数や強度が増加する可能性があります。

また、台風の進路も変わります。通常、台風は西から東へ向かって進みますが、スーパーエルニーニョでは貿易風が弱まるため、台風は北上しやすくなります 。

このため、日本列島に接近する台風の数や強度が増加する可能性があります。

台風や集中豪雨によって、強風や高波、土砂災害や浸水などの災害が発生する可能性があります。また、交通やインフラにも影響が出る可能性があります。

台風や集中豪雨への対策としては、

  • 気象情報に注意を払い、避難勧告などに従うこと
  • 家屋や施設の防水や補強を行うこと
  • 非常用品や食料などを備えること

などが挙げられます。

③冬は暖冬になる可能性が高い

スーパーエルニーニョが発生すると、冬にも影響が出ます。スーパーエルニーニョでは、太平洋赤道域の海水温の上昇によって、大気の対流が活発化します。

このため、高緯度地域では偏西風が強まります 。偏西風は、日本付近の気圧配置を変える要因の一つです。偏西風が強まると、日本海側に寒気が流れ込みにくくなります。

また、太平洋高気圧が弱まり、南から暖かい空気が流れ込みやすくなります 。

これらの要因によって、日本では冬場に暖冬になる可能性が高くなります。

実際に、過去のスーパーエルニーニョ発生年である1997年や2015年には、日本全国で平均気温が高くなったことがあります 。

暖冬によって、人体への影響は少ないかもしれませんが、農業や観光などの産業への影響は大きいかもしれません。

例えば、

  • 作物の生育や収穫時期がずれる可能性があります。
  • 雪不足によってスキー場や温泉地などの観光客数が減る可能性があります。
  • 気温差や乾燥によってインフルエンザや花粉症などの感染症やアレルギー症状が悪化する可能性があります。

暖冬対策としては、

  • 作物の品種や栽培方法を見直すこと
  • 雪不足を補うための人工降雪や雪景色を演出する方法を考えること
  • 気温差や乾燥に対応するための衣服や保湿などを行うこと

などが挙げられます。

3.スーパーエルニーニョがもたらす世界の異常気象

スーパーエルニーニョがもたらす世界の異常気象

ここでは、スーパーエルニーニョが世界各地にどのような影響を与えるかについて、詳しく見ていきたいと思います。スーパーエルニーニョは、世界の気候に大きな変化をもたらします。

具体的には、

  • 南米オーストラリアでは干ばつや森林火災が発生しやすくなります。
  • アジアアフリカでは洪水や熱波が発生しやすくなります。
  • 北米では冬季に寒波や大雪が発生しやすくなります。

それでは、それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。

①南米やオーストラリアでは干ばつや森林火災が発生しやすい

スーパーエルニーニョが発生すると、南米やオーストラリアでは干ばつや森林火災が発生しやすくなります。

これは、エルニーニョ現象によって、南米沿岸やオーストラリア東部の海水温が上昇し、降水量が減少するためです。例えば、

  • 南米では、ペルーやエクアドルなどの太平洋沿岸地域で降水量が平年の半分以下になることがあります。これによって、農業や水資源に深刻な影響が出ます。また、アマゾン熱帯雨林では乾燥が進み、森林火災の危険性が高まります。
  • オーストラリアでは、東部や南東部の海水温が上昇し、降水量が減少することがあります。これによって、農業や水資源に深刻な影響が出ます。また、オーストラリアの森林火災シーズンは通常10月から3月までですが、スーパーエルニーニョでは8月から5月まで延長されることがあります。森林火災は人命や財産だけでなく、野生動物や生態系にも大きな被害を与えます。

干ばつや森林火災への対策としては、

  • 降水量の予測や観測を行い、水不足に備えること
  • 火気の使用を控えること
  • 森林保護や再植林を行うこと

などが挙げられます。

②アジアやアフリカでは洪水や熱波が発生しやすい

スーパーエルニーニョが発生すると、アジアやアフリカでは洪水や熱波が発生しやすくなります。

これは、エルニーニョ現象によって、インドネシアやインド洋周辺の海水温が上昇し、降水量が増加するためです。

例えば、

  • アジアでは、インドネシアやフィリピンなどの東南アジア地域で降水量が平年の2倍以上になることがあります。これによって、洪水や土砂災害の発生や進行が促されます。また、インドやパキスタンなどの南アジア地域では、モンスーンの強度や時期が変化し、降水量の分布が不均一になります。これによって、一部地域では洪水や土砂災害が発生し、他の地域では干ばつが発生します。さらに、中国や日本などの東アジア地域では、夏場に熱波が発生しやすくなります。これによって、人体への負担や熱中症のリスクが高まります。
  • アフリカでは、ケニアやエチオピアなどの東アフリカ地域で降水量が平年の2倍以上になることがあります。これによって、洪水や土砂災害の発生や進行が促されます。また、南アフリカ共和国やナミビアなどの南部アフリカ地域では、降水量が減少し、干ばつが発生しやすくなります。これによって、農業や水資源に深刻な影響が出ます。

洪水や熱波への対策としては、

  • 気象情報に注意を払い、避難勧告などに従うこと
  • 家屋や施設の防水や補強を行うこと
  • 水分や塩分の補給をこまめに行うこと

などが挙げられます。

③北米では冬季に寒波や大雪が発生しやすい

スーパーエルニーニョが発生すると、北米では冬季に寒波や大雪が発生しやすくなります。

これは、エルニーニョ現象によって、北極振動という気圧配置の変動が起こるためです。北極振動は、北極圏と中緯度地域の気圧差によって決まります。

通常、北極圏は中緯度地域よりも気圧が低く、偏西風は強く吹きます。

しかし、エルニーニョ現象では、北極圏と中緯度地域の気圧差が小さくなり、偏西風は弱まります 。

このため、北極圏から寒気が南下しやすくなります。例えば、

  • アメリカ合衆国では、東部や中西部で寒波や大雪が発生しやすくなります。これによって、交通やインフラに大きな影響が出ます。また、農業や畜産物への影響も懸念されます。
  • カナダでは、西部や中部で寒波や大雪が発生しやすくなります。これによって、交通やインフラに大きな影響が出ます。また、農業や畜産物への影響も懸念されます。

寒波や大雪への対策としては、以下のようなことが必要です。

・気象情報に注意を払い、適切な防寒着や暖房器具を用意すること

・道路や屋根の除雪や凍結防止を行うこと

・食料や医薬品などの備蓄を行うこと

4.スーパーエルニーニョへの対策と今後の見通し

スーパーエルニーニョへの対策と今後の見通し

スーパーエルニーニョは、自然現象ですが、人間活動によってその影響が増大している可能性もあります。

私たちは自然と共生することを忘れずに、持続可能な社会を目指していきましょう。

①異常気象による災害への備えと早期避難を心がける

スーパーエルニーニョが発生すると、日本や世界各地で猛暑や寒波、台風や集中豪雨、干ばつや森林火災などの異常気象が発生しやすくなります。

これらの異常気象は、人命や財産に大きな被害を与えるだけでなく、農業や水資源、インフラや産業などにも深刻な影響を及ぼします。

このような状況に備えて、以下のことを行うことが重要です。

  • 気象情報に注意を払い、災害警報や避難勧告などに従うこと
  • 家屋や施設の防水や補強を行うこと
  • 非常用品や食料などを備えること
  • 火気の使用を控えること
  • 道路や屋根の除雪や凍結防止を行うこと

また、災害が発生した場合は、早期に安全な場所に避難することが大切です。避難する際は、

  • 避難所や避難経路を事前に確認すること
  • 防災グッズや必要最低限の荷物を持って行くこと
  • 近隣の人や家族と連絡を取り合うこと

などを心がけましょう。

②暑さ対策や健康管理を徹底する

スーパーエルニーニョが発生すると、日本や世界各地で夏場に猛暑や熱波が発生しやすくなります。

これらの高温は、人体への負担や熱中症のリスクを高めます。特に高齢者や子供、持病のある人は注意が必要です。暑さ対策としては、

  • 水分や塩分の補給をこまめに行うこと
  • 日陰や冷房を利用して体温を下げること
  • 睡眠不足やアルコール摂取を避けること

などが挙げられます。

また、高温だけでなく、気温差や乾燥によってインフルエンザや花粉症などの感染症やアレルギー症状が悪化する可能性もあります。健康管理としては、

  • 手洗いやうがいを励行すること
  • マスクやハンカチなどで口や鼻を覆うこと
  • ビタミンやミネラルなどの栄養素を摂取すること

などが挙げられます。

③地球温暖化とエルニーニョ現象の関係について研究を進める

スーパーエルニーニョは、自然現象ですが、人間活動によってその影響が増大している可能性もあります。

特に、地球温暖化とエルニーニョ現象の関係については、まだ不明な点が多く、研究が必要です。地球温暖化は、温室効果ガスの排出によって地球の平均気温が上昇する現象です。

地球温暖化は、海水温の上昇や気圧配置の変化などを引き起こし、エルニーニョ現象に影響を与える可能性があります。

逆に、エルニーニョ現象も、気候システムに大きな変動をもたらし、地球温暖化に影響を与える可能性があります。例えば、

  • 地球温暖化によって海水温が上昇すると、エルニーニョ現象の発生頻度や強度が増加する可能性があります。
  • エルニーニョ現象によって海水温が上昇すると、大気中の水蒸気量や二酸化炭素濃度が増加し、温室効果を強める可能性があります。

これらの関係は、まだ確定的ではなく、複雑で非線形なものです。

しかし、地球温暖化とエルニーニョ現象の関係を理解することは、気候変動への対応や予測に重要です。そのためには、

  • 気象観測や気候モデルの精度や範囲を向上させること
  • 国際的な協力や情報共有を行うこと
  • 温室効果ガスの削減や再生可能エネルギーの利用を促進すること

などが挙げられます。

おわりに

2023年はスーパーエルニーニョ現象が発生すると予想されており、日本や世界各地で異常気象が発生する可能性があります。

このような状況に備えて、気象情報に注意を払い、災害への対策を行うことが重要です。

また、スーパーエルニーニョ現象は地球温暖化とも関係していると考えられており、気候変動への対応も必要です。

スーパーエルニーニョ現象は自然現象ですが、人間活動によってその影響が増大している可能性もあります。

私たちは自然と共生することを忘れずに、持続可能な社会を目指していきましょう。

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