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温暖化の原因とは?気候変動のメカニズムと対策を解説

温暖化の原因とは?気候変動のメカニズムと対策を解説 学び

地球温暖化とは、地球全体の平均気温が上昇する現象です。

この現象は、自然環境や人間の生活に様々な影響を及ぼすと考えられています。

では、なぜ地球温暖化が起きるのでしょうか?その原因と予測について、分かりやすく解説します。

1.地球を暖める仕組みと温室効果ガス

地球は、太陽からの熱エネルギーを受けて温まります。

しかし、すべての熱エネルギーが地球に留まるわけではありません。一部は、大気や雲に反射されて宇宙に戻ります。

また、一部は、地表や海から放出されて宇宙に逃げます。

このように、太陽からの熱エネルギーと地球からの熱エネルギーのバランスがとれているとき、地球の平均気温は安定します。

しかし、大気中には、温室効果ガスと呼ばれる特殊なガスが存在します。

このガスは、太陽からの熱エネルギーを通しやすく、地球からの熱エネルギーを吸収して放出しにくい性質を持っています。

そのため、温室効果ガスが多くなると、地球からの熱エネルギーが大気中に閉じ込められてしまい、地球の平均気温が上昇することになります。これが温室効果と呼ばれる現象です。

温室効果ガスには、主に以下のような種類があります。

  • 二酸化炭素(CO2):化石燃料の燃焼や森林破壊などで増加しています。
  • メタン(CH4):家畜やごみなどの有機物の分解や天然ガスの採掘などで発生しています。
  • 亜酸化窒素(N2O):化学肥料や工業プロセスなどで排出されています。
  • フロン類(CFCs, HFCs, PFCsなど):冷蔵庫やエアコンなどの冷媒や発泡剤などで使用されています。
  • オゾン(O3):大気中の酸素と窒素酸化物や有機物質が反応して生成されています。

温室効果ガスは、それぞれ異なる寿命や温室効果の強さを持っています。

例えば、二酸化炭素は約100年間大気中に残りますが、メタンは約12年間しか残りません。しかし、メタンは二酸化炭素よりも約28倍も温室効果が強いです。

そのため、温室効果ガスの影響を比較するときには、単位量あたりの温室効果を考慮する必要があります。

温室効果ガスは、自然界からも発生しますが、人間の活動によって大幅に増加しています。

特に二酸化炭素は、産業革命以降に急激に増えており、現在では過去80万年間で最高レベルに達しています。

このように、人間が大量の温室効果ガスを排出することで、地球を暖める仕組みが変わってしまっているのです。

2.人間の活動が温暖化を加速させる

人間の活動が温暖化を加速させる

地球温暖化の原因として、温室効果ガスの増加が挙げられますが、その背景には人間の活動が大きく関わっています。

人間は、産業や交通などのさまざまな分野で、化石燃料を大量に使用しています。また、農業や開発などのために、森林や土地を破壊したり変化させたりしています。

これらの活動は、温室効果ガスの排出や吸収のバランスを崩し、温暖化を加速させることになります。

さらに、その他にも人間が温暖化に影響を与える要因があります。それらについて、詳しく見ていきましょう。

  • 化石燃料の使用と二酸化炭素の増加
    • 化石燃料とは、石油や石炭、天然ガスなどのことで、古代の生物が地中で変化したものです。これらは、エネルギー源として広く利用されていますが、燃焼すると二酸化炭素を排出します。
    • 二酸化炭素は、温室効果ガスの中でも最も量が多く、温室効果に大きく寄与しています。人間は、工場や自動車などで化石燃料を使うことで、毎年約370億トンもの二酸化炭素を大気中に放出しています。
    • このように人間が排出した二酸化炭素は、大気中に長く残ります。そのため、地球からの熱エネルギーを吸収し続けて温暖化を進めます。また、一部は海に溶け込んで海水の酸性度を上げることで、海洋生態系にも悪影響を与えます。
  • 森林破壊と土地利用の変化
    • 森林は、二酸化炭素を吸収して酸素を放出することで、温室効果ガスのバランスを保つ役割を果たしています。しかし、人間は、農地や牧草地などのために森林を伐採したり焼いたりしています。これによって森林が失われると、二酸化炭素の吸収能力が低下し、逆に排出量が増えることになります。
    • 土地利用の変化とは、人間が自然な土地を開発したり改変したりすることです。例えば、都市化や道路建設などでコンクリートやアスファルトなどで覆われた土地は、日射を反射せずに吸収することで気温を上昇させます。これはヒートアイランド現象と呼ばれます。
    • このように森林破壊や土地利用の変化は、地球表面のアルベド(反射率)や水循環などに影響を与えて気候変動を引き起こします。また、生物多様性や生態系の機能も損なわれることになります。
  • その他の人為的な要因
    • 人間の活動によって温暖化に影響を与える要因は、化石燃料や森林破壊だけではありません。その他にも以下のような要因があります。
      • エアロゾル:火山噴火や砂塵嵐などの自然現象だけでなく、工業や農業などの人間の活動でも大気中に微粒子が放出されます。これらはエアロゾルと呼ばれ、太陽光を散乱したり吸収したりすることで気候に影響を与えます。エアロゾルは、温室効果ガスとは逆に地球を冷やす効果があると考えられていますが、その量や種類によっては温暖化を促進する可能性もあります。
      • 黒炭:森林火災やバイオマス燃焼などで発生する黒い粒子です。これもエアロゾルの一種ですが、太陽光を吸収して大気を温める効果があります。また、雪や氷に付着するとアルベドを低下させて融解を早めることで、温暖化を加速させます。
      • 地球軌道の変化:地球は、太陽の周りを楕円形の軌道で回っていますが、その形や傾きは時間とともに変化します。これはミランコビッチ・サイクルと呼ばれる自然現象ですが、人間の活動によっても影響を受ける可能性があります。例えば、大規模なダム建設や地下水の汲み上げなどで地球の質量分布が変わると、地球の自転速度や傾きが変わることがあります。

3.温暖化による気候変化の観測と予測

温暖化による気候変化の観測と予測

地球温暖化は、自然環境や人間の生活に様々な影響を及ぼすと考えられています。

では、どのような影響が観測されているのでしょうか?また、今後どのような変化が予測されているのでしょうか?

ここでは、温暖化による気候変化の観測と予測について、分かりやすく解説します。

  • 気温や海面水位の上昇
    • 気温の上昇は、地球温暖化の最も明確な指標です。気象庁によると、日本の平均気温は1898年から2020年までに約1.3℃上昇しています。世界的にも、過去6年間(2015~2020年)は、1880年からの観測史上最も暖かい年となっています。
    • 海面水位の上昇は、気温の上昇に伴って海水が膨張することや氷河や氷床が融解することによって起こります。気象庁によると、日本沿岸の海面水位は1906年から2019年までに約2.4mm/年のペースで上昇しています。世界的にも、1993年から2019年までに約3.3mm/年のペースで上昇しています。
    • 気温や海面水位の上昇は、今後も続くと予測されています。文部科学省と気象庁が公表した「日本の気候変動2020」によると、日本では21世紀末までに平均気温が1.7~4.5℃上昇し、海面水位が0.3~1.2m上昇する可能性が高いとされています。これらの変化は、熱中症や感染症などの健康への影響や、沿岸部の浸水や侵食などの災害リスクを高めることが懸念されます。
  • 極端な気象や異常気象の増加
    • 気候変動は、気温や降水だけでなく、そのばらつきや極端さも変えてしまいます。例えば、猛暑日や大雨などの極端な気象現象や、季節外れや場所不適合な気象現象などの異常気象現象が増加していると考えられています。
    • 猛暑日とは、最高気温が35℃以上となる日のことです。日本では近年、猛暑日が多発しており、2018年には全国平均で18.7日という記録的な数値を示しました。また、「日本の気候変動2020」によると、21世紀末までに猛暑日は約2倍~約4倍に増加する可能性が高いとされています。
    • 大雨とは、1時間降水量が80mm以上や日降水量が300mm以上など、強度の強い雨のことです。日本では近年、大雨が頻繁に発生しており、1980年頃と比較して、約2倍程度に頻度が増加しています。また、「日本の気候変動2020」によると、21世紀末までに大雨の発生回数は約1.3倍~約2.6倍に増加する可能性が高いとされています。
    • 極端な気象や異常気象の増加は、農業や水資源などの生活基盤や、土砂災害や洪水などの自然災害に影響を与えることが懸念されます。
  • 氷河や氷床の減少
    • 氷河や氷床は、地球上の水の約70%を占める重要な水資源です。しかし、気温の上昇によって氷河や氷床は融解し、その面積や厚さは減少しています。例えば、北極海の海氷は1979年から2019年までに約40%も減少しています。また、南極大陸やグリーンランド島の氷床も減少傾向にあります。
    • 氷河や氷床の減少は、海面水位の上昇だけでなく、地球のエネルギーバランスや海流などにも影響を与えることが考えられています。例えば、氷河や氷床は太陽光を反射することで地球を冷やす役割を果たしていますが、その面積が減ると太陽光を吸収する海水や土地が増えて地球が暖まりやすくなります。これはアイス・アルベド・フィードバックと呼ばれる現象です。また、氷河や氷床から溶け出した淡水が海洋に流れ込むことで、海水の塩分濃度や密度が変化し、海流のパターンが変わる可能性もあります。
    • 氷河や氷床の減少は、生物多様性や食物連鎖などの生態系にも影響を与えることが懸念されます。例えば、北極海の海氷はホッキョクグマやアザラシなどの生息地や狩り場となっていますが、その減少によってこれらの動物の生存が危ぶまれています。

4.温暖化対策に必要なこと

温暖化対策に必要なこと

地球温暖化は、気候変動によって自然や人間に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

私たちは、温暖化を食い止めるために、どのような対策を取るべきなのでしょうか?

ここでは、温暖化対策に必要なことについて、分かりやすく解説します。

  • 温室効果ガスの排出削減と吸収促進
    • 温室効果ガスの排出削減とは、化石燃料の使用量を減らしたり、エネルギー効率を高めたりすることで、大気中に放出される温室効果ガスの量を減らすことです。これは、温室効果を抑えて地球の平均気温の上昇を遅らせることができます。
    • 温室効果ガスの吸収促進とは、植物や土壌などが二酸化炭素を吸収して貯め込むことで、大気中の温室効果ガスの量を減らすことです。これは、温室効果ガスのバランスを保つことができます。
    • 温室効果ガスの排出削減と吸収促進は、互いに補完的な関係にあります。排出削減だけでは十分ではなく、吸収促進も必要です。また、吸収促進だけでは限界があり、排出削減も必要です。
  • 再生可能エネルギーの利用拡大と省エネルギー
    • 再生可能エネルギーとは、太陽光や風力、水力など自然界に存在するエネルギー源から得られるエネルギーのことです。これらは、化石燃料と違って枯渇する心配がなく、また温室効果ガスの排出量も少ないです。そのため、再生可能エネルギーの利用拡大は、温暖化対策に有効な手段です。
    • 省エネルギーとは、エネルギー消費量を抑えることです。例えば、節電や省エネ家電の使用やエコドライブなどが挙げられます。これらは、エネルギーの無駄遣いを防ぐことで、化石燃料の使用量や温室効果ガスの排出量を減らすことができます。
    • 再生可能エネルギーの利用拡大と省エネルギーは、互いに相乗的な関係にあります。再生可能エネルギーを利用することで省エネルギーがしやすくなりますし、省エネルギーをすることで再生可能エネルギーが有効活用されます。
  • 国際的な協力と地域的な対策
    • 国際的な協力とは、世界各国が温暖化対策に取り組むことです。例えば、パリ協定は、2015年に採択された国際的な気候変動枠組みで、各国が自主的に温室効果ガスの排出削減目標を設定し、実施することを約束したものです。これは、温暖化の原因や影響が国境を越えていることを認識し、共通の責任と利益を持つことを意味します。
    • 地域的な対策とは、各地域が温暖化対策に取り組むことです。例えば、地方自治体や企業や市民団体などが、再生可能エネルギーの導入や省エネルギーの推進や森林保護や植林などの活動を行っています。これは、温暖化の影響が地域によって異なることを考慮し、自らの力で対応することを意味します。
    • 国際的な協力と地域的な対策は、互いに補完的な関係にあります。国際的な協力だけでは実効性が低く、地域的な対策も必要です。また、地域的な対策だけでは規模が小さく、国際的な協力も必要です。

おわりに

地球温暖化は、人間の活動によって大気中の温室効果ガスが増えることが主な原因です。

このまま放置すれば、地球の気候は大きく変わり、自然や人間に深刻な影響を与えるでしょう。

私たちは、温暖化を食い止めるために、日々の生活や社会でできることを考えて行動する必要があります。

地球温暖化に関する詳しい情報は、以下のサイトを参考にしてください。

全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA: Japan Center for Climate Change Actions)

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