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海面上昇の原因と影響、そして対策について知ろう

海面上昇の原因と影響、そして対策について知ろう 学び

海面上昇とは、海水の水位が高くなる現象です。

海面上昇が起きると、どのような原因があるのでしょうか?

また、海面上昇がもたらす影響や対策についてはどうなっているのでしょうか?

この記事では、海面上昇について初心者にも分かりやすく解説します。

1.海面上昇の主な原因

地球温暖化によって、海水の水位が高くなる現象を海面上昇といいます。

海面上昇は、私たちの生活や環境にさまざまな影響を与える可能性があります。

では、海面上昇の主な原因は何でしょうか?

ここでは、熱膨張と氷河や氷床の融解という二つの要因について解説します。

①熱膨張

熱膨張とは、物質が温度が上がると体積が増える現象です。水も熱膨張する物質の一つです。

地球温暖化によって、大気や海水の温度が上昇しています。その結果、海水の体積も増えて、海面が上昇しています。

②氷河や氷床の融解

氷河や氷床とは、陸地に積もった雪が圧縮されてできた氷の塊です。

氷河や氷床は、世界中に存在していますが、特に南極や北極に多くあります。

地球温暖化によって、氷河や氷床が溶けて、その水が海に流れ込んでいます。その結果、海水の量が増えて、海面が上昇しています。

2.海面上昇の現状と予測

海面上昇の現状と予測

ここでは、過去100年間での海面上昇の実測値と、今後2100年までの海面上昇のシナリオについて解説します。

①過去100年間で19センチも上昇

海面上昇の実測値は、潮位計や衛星観測などの方法で得られます。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第六次評価報告書によると、1901年から2018年までの平均的な海面上昇率は1.3ミリメートル/年でした。

これは、過去100年間で約19センチも海面が上昇したことを意味します。

また、この海面上昇率は、近年さらに加速しています。

1971年から2018年までの平均的な海面上昇率は2.0ミリメートル/年、1993年から2018年までの平均的な海面上昇率は3.3ミリメートル/年でした。

これらの数字は、地球温暖化が進行していることを示しています。

②今後2100年までに26~82センチ上昇する可能性

海面上昇の予測は、気候モデルや排出シナリオなどの方法で行われます。

気候モデルとは、大気や海洋などの物理的な過程を数学的に表現したものです。

排出シナリオとは、人口や経済、エネルギー消費などの社会的な要因に基づいて、未来の温室効果ガスの排出量を推定したものです。

IPCC第六次評価報告書では、5つの排出シナリオ(SSP1-1.9, SSP1-2.6, SSP2-4.5, SSP3-7.0, SSP5-8.5)に基づいて、今後2100年までの海面上昇のシナリオを示しています。

その結果、以下のような範囲が得られました。

SSP1-1.9: 26~55センチ(中央値37センチ)

SSP1-2.6: 28~59センチ(中央値43センチ)

SSP2-4.5: 32~69センチ(中央値50センチ)

SSP3-7.0: 36~77センチ(中央値56センチ)

SSP5-8.5: 41~82センチ(中央値63センチ)

これらのシナリオは、温室効果ガスの排出量が低ければ低いほど、海面上昇が抑制されることを示しています。

しかし、いずれのシナリオでも、過去100年間よりもはるかに高いペースで海面が上昇することが予想されます。

参照:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第六次評価報告書

3.海面上昇がもたらす影響

海面上昇がもたらす影響

ここでは、島国や沿岸地域の水没や高潮、砂浜や干潟の消失、生態系や農業への影響という三つの点について解説します。

①島国や沿岸地域の水没や高潮

海面上昇が進むと、島国や沿岸地域は水没の危険にさらされます。

特に、低地や平地が多い国や地域は、海水が侵入して土地が失われる可能性が高くなります。

例えば、モルディブやバングラデシュなどは、海面上昇によって国土の一部が水没すると予測されています。

また、海面上昇は、高潮や津波などの自然災害のリスクを増加させます。

高潮とは、台風や低気圧などによって引き起こされる海水の異常な高さです。

津波とは、地震や火山噴火などによって引き起こされる海水の波動です。

これらの現象は、海面上昇によって発生頻度や規模が大きくなり、沿岸部の人々や施設に甚大な被害を与える可能性があります。

②砂浜や干潟の消失

海面上昇が進むと、砂浜や干潟などの自然景観も消失する可能性があります。

砂浜とは、波や風によって運ばれた砂が堆積した場所です。

干潟とは、潮の満ち引きによって現れたり隠れたりする場所です。これらの場所は、人々のレジャーや観光に重要な役割を果たしています。

また、多くの動植物が生息している生物多様性の宝庫でもあります。

しかし、海面上昇によって、砂浜や干潟は侵食されたり埋め立てられたりして、姿を消す可能性があります。

これは、人々の生活や文化に大きな影響を与えるだけでなく、自然環境や生態系にも深刻な影響を与えることになります。

③生態系や農業への影響

海面上昇が進むと、生態系や農業にも影響を与える可能性があります。

生態系とは、ある地域に住む生物とその周囲の環境との相互作用のことです。

農業とは、人間が作物や家畜を育てる活動のことです。これらは、私たちの食料や資源を提供してくれる重要なものです。

しかし、海面上昇によって、以下のような問題が起こる可能性があります。

塩分の浸透: 海水が陸地に侵入すると、土壌や地下水に塩分が浸透します。これは、作物の生育や収穫に悪影響を与えます。また、淡水の供給にも影響を与えます。

潮間帯の変化: 潮間帯とは、潮の満ち引きによって海と陸の境界が変化する場所です。ここには、マングローブやサンゴ礁などの特殊な生態系が存在しています。しかし、海面上昇によって、潮間帯の位置や幅が変化します。これは、これらの生態系の構造や機能に影響を与えます。

海流や気候の変化: 海面上昇によって、海水の密度や温度が変化します。これは、海流や気候に影響を与えます。海流とは、海水が一定の方向に流れる現象です。気候とは、ある地域の長期的な天候の傾向です。これらは、生物の分布や適応に影響を与えます。

4.海面上昇への対策

海面上昇への対策

ここでは、温室効果ガスの排出削減、防災や適応策の強化、国際的な協力と支援という三つの点について解説します。

①温室効果ガスの排出削減

温室効果ガスとは、大気中に存在して太陽からの熱を吸収して地球を温めるガスのことです。

二酸化炭素やメタンなどが代表的な温室効果ガスです。温室効果ガスは、自然界からも発生しますが、人間の活動によって大量に排出されています。

例えば、化石燃料の燃焼や森林の伐採などがその原因です。温室効果ガスの排出量が増えると、地球の平均気温が上昇します。これが地球温暖化です。

地球温暖化は、海面上昇の主な原因です。したがって、海面上昇を防ぐためには、温室効果ガスの排出量を削減することが必要です。

具体的には、以下のような対策が考えられます。

再生可能エネルギーの利用: 再生可能エネルギーとは、太陽光や風力など自然界に存在するエネルギー源から得られるエネルギーのことです。再生可能エネルギーは、化石燃料に比べて温室効果ガスの排出量が少ないか無いという特徴があります。そのため、再生可能エネルギーの利用を増やすことで、エネルギー需要を満たしながらも温室効果ガスの排出量を抑えることができます。

エネルギー効率の向上: エネルギー効率とは、エネルギーを消費する機器や施設がどれだけエネルギーを無駄にしないかという指標です。エネルギー効率が高ければ高いほど、同じサービスや機能を提供するために必要なエネルギー量が少なくなります。そのため、エネルギー効率を向上させることで、エネルギー消費量や温室効果ガスの排出量を削減することができます。

森林保全や植林: 森林は、二酸化炭素を吸収して酸素を放出するという役割を果たしています。これは、二酸化炭素を貯蔵するという意味で、温室効果ガスの排出量を抑制することにつながります。しかし、人間の活動によって森林が伐採されたり焼かれたりして、その役割が失われています。そのため、森林を保全したり植林したりすることで、温室効果ガスの吸収量を増やすことができます。

②防災や適応策の強化

温室効果ガスの排出削減は、海面上昇を防ぐための根本的な対策ですが、それだけでは十分ではありません。

海面上昇は、すでに進行している現象であり、その影響は今後も続くと予測されています。

したがって、海面上昇によって引き起こされる被害を最小限に抑えるためには、防災や適応策の強化も必要です。

具体的には、以下のような対策が考えられます。

防潮堤や堤防の建設: 防潮堤や堤防とは、海水や河水の侵入を防ぐために建設される壁や堤のことです。これらは、高潮や津波などの自然災害から沿岸部の人々や施設を守る役割を果たします。しかし、海面上昇によって、これらの防御施設の高さや強度が不足する可能性があります。そのため、海面上昇に対応した防潮堤や堤防の建設や改修が必要です。

浸水対策や移住支援: 浸水対策とは、海水や河水が侵入した場合に備えて行う準備や対応のことです。例えば、浸水地図の作成や浸水警報システムの整備などがその一例です。これらは、浸水の危険性を把握したり、浸水時に避難したりすることを助けます。しかし、海面上昇によって、浸水対策だけでは十分ではない場合もあります。その場合は、移住支援という対策が必要です。移住支援とは、海面上昇によって住む場所を失った人々に対して、新しい住まいや生活基盤を提供することです。

生態系保全や復元: 生態系保全や復元とは、海面上昇によって影響を受ける生物や自然環境を守ることです。例えば、マングローブやサンゴ礁などの潮間帯の生態系は、海面上昇によって消失する可能性があります。しかし、これらの生態系は、沿岸部の防波や浄化などの重要な機能を果たしています。そのため、これらの生態系を保全したり復元したりすることで、海面上昇に対する適応能力を高めることができます。

③国際的な協力と支援

温室効果ガスの排出削減や防災・適応策の強化は、各国や地域がそれぞれ行うべき対策ですが、それだけでは十分ではありません。

海面上昇は、国境を越えて影響を受ける現象です。海面上昇によって被害を受ける国や地域は、地理的や経済的に不平等な状況にあります。

例えば、海面上昇の原因となる温室効果ガスの排出量は、先進国や新興国が多くを占めていますが、海面上昇の影響を受ける国や地域は、島国や途上国が多くを占めています。

また、海面上昇に対応するための資金や技術は、先進国や新興国が多くを持っていますが、海面上昇に対応するための能力は、島国や途上国が低いと言われています。

このような不平等な状況を解決するためには、国際的な協力と支援が必要です。具体的には、以下のような対策が考えられます。

国際的な枠組みの構築: 国際的な枠組みとは、海面上昇に関する情報や知識の共有、温室効果ガスの排出削減の目標や責任の分担、防災や適応策の支援や協調などを定めたルールや制度のことです。これらは、海面上昇に対する共通の認識や行動を促す役割を果たします。例えば、パリ協定や京都議定書などがその一例です。これらの枠組みは、各国が自主的に参加するものですが、海面上昇に対する緊急性や重要性を高めることで、より効果的なものにすることができます。

被害国や地域への支援: 被害国や地域への支援とは、海面上昇によって被害を受ける国や地域に対して、資金や技術、人材などを提供することです。これらは、防災や適応策の実施や移住支援などに活用されます。例えば、グリーン気候基金や適応基金などがその一例です。これらの支援は、先進国や新興国が主に行うものですが、被害国や地域のニーズや声を尊重することで、より効果的なものにすることができます。

おわりに

海面上昇は、地球温暖化によって引き起こされる深刻な現象です。

私たちの生活や環境に大きな影響を与える可能性があります。

海面上昇を防ぐためには、温室効果ガスの排出削減や防災・適応策の強化などが必要です。

また、海面上昇によって被害を受ける国や地域への国際的な協力や支援も重要です。

私たちは、海面上昇という問題に真剣に向き合い、地球温暖化を食い止めるためにできることを行っていく必要があります。

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