蓄電池とは、電気エネルギーを化学エネルギーとして貯めておき、必要なときに電気エネルギーに戻して使える装置のことです。
蓄電池は、自家発電や非常用電源、電気自動車などの様々な用途で利用されていますが、その種類は多岐にわたります。
蓄電池の種類によって、性能や特徴、メリットやデメリットが異なります。
また、自分のニーズや目的に合った蓄電池を選ぶためには、負荷タイプや充電方式なども考慮する必要があります。
この記事では、現在主流の蓄電池の種類と選び方を分かりやすく解説します。
1.蓄電池の種類と特徴
蓄電池とは、電気エネルギーを化学エネルギーとして貯めておき、必要なときに電気エネルギーに戻して使える装置のことです。
蓄電池は、自家発電や非常用電源、電気自動車などの様々な用途で利用されていますが、その種類は多岐にわたります。
蓄電池の種類によって、性能や特徴、メリットやデメリットが異なります。
この記事では、現在主流の蓄電池の種類と特徴を紹介します。
①鉛蓄電池
鉛蓄電池とは、鉛を用いた二次電池のことです。
二次電池は、充電することで繰り返し使用できるもので、充電池や蓄電池のことを指します。
鉛蓄電池は、1859年にフランスのガストン・プランテにより発明された最も古い歴史を持つ二次電池です。
特徴とメリット
鉛蓄電池の特徴とメリットは以下の通りです。
- リサイクル可能で安価に供給できる:鉛蓄電池の原材料となる鉛は、安い価格で多くの量を入手しやすく、使用済みであってもほとんどの部分を再利用できます。そのため、他の蓄電池と比較すると、鉛蓄電池はコストパフォーマンスの面で優れた蓄電池と言えます。
- 大きな起電力を持っている:起電力とは、電池や発電機における、電流を流そうとする力の強さのことです。つまり、自動車や電動フォークリフトのように、大量の電力を必要とするものにとって、鉛蓄電池は非常に適しています。
- 長時間の放電でも安定した性能を保つ:他の蓄電池に比べると、使用可能な温度範囲が広く、様々な場面で安定した性能を発揮できます。
欠点と注意点
鉛蓄電池の欠点と注意点は以下の通りです。
- 重くて大きいため用途が限定される:鉛蓄電池は、自動車や電動フォークリフトに使用されるように、多くの電力を発揮する反面、サイズと重量が他の蓄電池と比べると大きいです。ですから現在は、スマートフォンやパソコンなどの小型機器にはリチウムイオン電池というものが主流になっています。鉛蓄電池には多くのメリットがありますが、その重量やサイズによって用途が限定されるため、様々な電子機器が小型化されている現在では大きなデメリットになるでしょう。
- 使用頻度によって性能が低下する:鉛蓄電池を放電した状態で放置すると、サルフェーションという現象が起こり、蓄えられる電気の容量が低下します。そして、その劣化した鉛蓄電池を元の状態に戻すことが不可能になるので注意しなければいけません。また、サルフェーションを防ぐために炭素微粉末やリグニン、ゲルマニウムなどの添加剤が使用されますが、それでも劣化を完全に防ぐことはできません。
- 破損時に危険を伴う:鉛蓄電池は、内部が希硫酸という電解液で満たされています。希硫酸とは簡単にいうと、硫酸の濃度を薄めたものです。そのため、硫酸ほどの危険性はありませんが、皮膚に付着したまま放置すると炎症を起こす危険があります。鉛蓄電池はサイズ・重量ともに大きいため、運搬の際に破損して希硫酸が周囲に飛び散る危険が伴います。もし、肌に付着した場合には、すぐに流水で丁寧に洗い流し、場合によっては医師の判断を仰ぐようにしましょう。
利用事例
鉛蓄電池は、以下のような場面で利用されています。
- 自動車のバッテリー:自動車のバッテリーとして広く利用されています。自動車のエンジンを始動させるためや、ライトやエアコンなどの電装品を動かすために必要な電力を供給します。
- 産業用の非常用電源装置:商用電源が停電した時における浮動充電用無停電電源装置の用途として利用されています。コンピューターや通信機器などの重要な機器を停電から守るために必要な電力を供給します。
- 電動フォークリフト:倉庫や工場などで荷物を運ぶための電動フォークリフトの主電源として利用されています。大きな荷物を持ち上げるためや、長時間作業するために必要な電力を供給します。
- 小型飛行機:小型飛行機のバッテリーとして利用されています。エンジンを始動させるためや、無線や計器などの航空機器を動かすために必要な電力を供給します。
②ニッケル水素電池
ニッケル水素電池とは、ニッケルと水素を用いた二次電池のことです。
二次電池は、充電することで繰り返し使用できるもので、充電池や蓄電池のことを指します。
ニッケル水素電池は、1989年に日本の三洋電機(現パナソニック)が世界初の商品化に成功した比較的新しい二次電池です。
特徴とメリット
ニッケル水素電池の特徴とメリットは以下の通りです。
- 高いエネルギー密度を持っている:エネルギー密度とは、単位重量あたりに含まれるエネルギー量のことです。つまり、同じ重さでも、エネルギー密度が高いほど多くのエネルギーを持っていることになります。ニッケル水素電池は、鉛蓄電池やニッケルカドミウム電池よりも高いエネルギー密度を持っており、小型化や軽量化に適しています。
- 長寿命である:ニッケル水素電池は、充放電サイクル数が500回以上と長寿命であり、繰り返し使用できます。また、自己放電率が低く、長期間保管しても性能が低下しにくいです。
- 環境に優しい:ニッケル水素電池は、有害な重金属であるカドミウムや水銀を含んでいません。そのため、廃棄時に環境への負荷が少なく、リサイクルも容易です。
欠点と注意点
ニッケル水素電池の欠点と注意点は以下の通りです。
- 高温に弱い:ニッケル水素電池は、高温になると内部抵抗が上昇し、充放電効率が低下します。また、高温環境下では水素が発生しやすく、膨張や破裂の危険があります。そのため、ニッケル水素電池を使用する際には、温度管理に注意する必要があります。
- 記憶効果がある:記憶効果とは、二次電池が完全に放電されずに充電されると、その時点での残量が最大容量として記憶されてしまい、実際の容量よりも少なくなってしまう現象のことです。ニッケル水素電池は、ニッケルカドミウム電池ほどではありませんが、記憶効果が発生する可能性があります。そのため、定期的に完全放電を行うことで、記憶効果を防ぐことができます。
- 高価である:ニッケル水素電池は、鉛蓄電池やニッケルカドミウム電池よりも高価です。その理由は、原材料のコストや製造工程の複雑さなどによるものです。ニッケル水素電池は、性能や環境性に優れていますが、初期投資が高いというデメリットもあります。
利用事例
ニッケル水素電池は、以下のような場面で利用されています。
- 家庭用の充電式電池:家庭用の充電式電池として広く利用されています。デジタルカメラやラジコンなどの高負荷機器に適しており、繰り返し使用できるため経済的です。
- ハイブリッド車や燃料電池車の補助バッテリー:ハイブリッド車や燃料電池車の補助バッテリーとして利用されています。エンジンやモーターから発生する余剰エネルギーを貯めておき、必要なときに駆動力に加えたり、停止時にエンジンを停止させたりすることで燃費を向上させます。
- 宇宙開発用のバッテリー:宇宙開発用のバッテリーとして利用されています。人工衛星や探査機などの宇宙機器に搭載され、太陽光発電から得られるエネルギーを貯めておき、太陽光が当たらない時に必要な電力を供給します
③リチウムイオン電池
リチウムイオン電池とは、リチウムとその化合物を用いた二次電池のことです。
二次電池は、充電することで繰り返し使用できるもので、充電池や蓄電池のことを指します。
リチウムイオン電池は、1991年に日本のソニーが世界初の商品化に成功した最も新しい二次電池です。
特徴とメリット
リチウムイオン電池の特徴とメリットは以下の通りです。
- 非常に高いエネルギー密度を持っている:エネルギー密度とは、単位重量あたりに含まれるエネルギー量のことです。つまり、同じ重さでも、エネルギー密度が高いほど多くのエネルギーを持っていることになります。リチウムイオン電池は、鉛蓄電池やニッケル水素電池よりもはるかに高いエネルギー密度を持っており、極めて小型化や軽量化に適しています。
- 長寿命である:リチウムイオン電池は、充放電サイクル数が1000回以上と長寿命であり、繰り返し使用できます。また、自己放電率が非常に低く、長期間保管しても性能が低下しにくいです。
- 記憶効果がない:記憶効果とは、二次電池が完全に放電されずに充電されると、その時点での残量が最大容量として記憶されてしまい、実際の容量よりも少なくなってしまう現象のことです。リチウムイオン電池は、記憶効果が発生しないため、完全放電を行わずに充電することができます。
欠点と注意点
リチウムイオン電池の欠点と注意点は以下の通りです。
- 高温や過充電・過放電によって発火・爆発する危険性がある:リチウムイオン電池は、高温になると内部の化学反応が激化し、発熱や発火、爆発の危険性があります。また、過充電や過放電によっても、内部の構造が変化し、短絡やガスの発生などの危険性があります。そのため、リチウムイオン電池を使用する際には、温度管理や充放電管理に注意する必要があります。
- 高価である:リチウムイオン電池は、鉛蓄電池やニッケル水素電池よりも高価です。その理由は、原材料のコストや製造工程の複雑さなどによるものです。リチウムイオン電池は、性能や小型化に優れていますが、初期投資が高いというデメリットもあります。
利用事例
リチウムイオン電池は、以下のような場面で利用されています。
- スマートフォンやパソコンなどの携帯機器:スマートフォンやパソコンなどの携帯機器に広く利用されています。高いエネルギー密度と小型化によって、長時間の使用や多機能化を実現しています。
- 電気自動車やプラグインハイブリッド車の主電源:電気自動車やプラグインハイブリッド車の主電源として利用されています。高いエネルギー密度と長寿命によって、走行距離や寿命を向上させています。
- 太陽光発電システムの蓄電装置:太陽光発電システムの蓄電装置として利用されています。高いエネルギー密度と長寿命によって、太陽光発電から得られるエネルギーを効率的に貯めておき、必要なときに使用できます。
④NAS電池
NAS電池とは、ナトリウム(Na)と硫黄(S)を用いた二次電池のことです。
二次電池は、充電することで繰り返し使用できるもので、充電池や蓄電池のことを指します。
NAS電池は、日本ガイシが世界で初めて実用化したメガワット級の電力貯蔵システムです。NASは日本ガイシの登録商標です。
特徴とメリット
NAS電池の特徴とメリットは以下の通りです。
- 大容量である:NAS電池は、高出力・長時間の電力貯蔵に適した電池です。鉛蓄電池やニッケル水素電池よりも高いエネルギー密度を持っており、同じ容量でもコンパクトな配置が可能です。
- 長寿命である:NAS電池は、充放電サイクル数が4500回以上と長寿命であり、繰り返し使用できます。また、自己放電率が低く、長期間保管しても性能が低下しにくいです。
- 環境に優しい:NAS電池は、有害な重金属や水銀を含んでいません。そのため、廃棄時に環境への負荷が少なく、リサイクルも容易です。
欠点と注意点
NAS電池の欠点と注意点は以下の通りです。
- 高温で動作する:NAS電池は、300℃に保たれたセル中でナトリウム(Na)と硫黄(S)の化学反応によって充放電を繰り返します。そのため、高温で動作することが必要です。高温による発熱や冷却などの管理が必要です。
- 高価である:NAS電池は、鉛蓄電池やニッケル水素電池よりも高価です。その理由は、原材料のコストや製造工程の複雑さなどによるものです。NAS電池は、大容量や長寿命、環境性などに優れていますが、初期投資が高いというデメリットもあります。
利用事例
NAS電池は、以下のような場面で利用されています。
- 電力負荷平準:NAS電池は、昼夜間などの電力需要の格差を解決する手段として利用されています。昼間に余剰な電力を貯めておき、夜間に需要が高まるときに放電して電力を供給します。これにより、ピークカットや節電対策、エネルギーコスト削減などが可能になります。
- 非常用電源:NAS電池は、商用電源が停電した時に重要な機器のバックアップが可能な非常用電源として利用されています。排ガスフリーで、手間のかかる燃料補給もいりません。可動部品が少なく、メンテナンスが容易です。
- 再生可能エネルギーの安定化:NAS電池は、化石燃料に頼らず二酸化炭素(CO 2 )も排出しない再生可能エネルギーの安定化に貢献しています。風力や太陽光は無尽蔵でクリーンな資源ですが、気象に左右される不安定なエネルギーでもあります。この出力の変動をNAS電池による充放電で吸収し、電力供給を安定化させることができます。
2.蓄電池の選び方
蓄電池の種類によって、性能や特徴、メリットやデメリットが異なります。ここでは、蓄電池を選ぶ際に重要なポイントである負荷タイプについて紹介します。
①負荷タイプ別に適した蓄電池を選ぶ
負荷タイプとは、蓄電池がどのような目的で使用されるかを表す分類です。負荷タイプには、主に以下の3種類があります。
- 常時負荷型:常時使用する
- 非常時負荷型:停電時などに使用する
- ピークシフト型:ピーク時に使用する
それぞれの負荷タイプに応じて、適した蓄電池の容量や出力、価格などが異なります。以下で詳しく見ていきましょう。
常時負荷型(常時使用する)
常時負荷型とは、日常的に蓄電池から電気を使用するタイプです。
例えば、太陽光発電システムと組み合わせて自家消費率を高めたり、夜間や昼間の料金差を利用して節約したりする場合です。常時負荷型の特徴は以下の通りです。
- 容量が大きい:常時使用するためには、一度に多くのエネルギーを貯める必要があります。そのため、容量が大きい蓄電池が適しています。一般的には10kWh以上の容量が望ましいとされます。
- 出力が高い:常時使用するためには、多くの家電や機器を同時に動かすことがあります。そのため、出力が高い蓄電池が適しています。一般的には5kW以上の出力が望ましいとされます。
- 価格が高い:容量や出力が大きい分、価格も高くなります。一般的には200万円以上の価格帯が多いです。
常時負荷型の蓄電池は、以下のような場面で利用されています。
- 太陽光発電システムと併用して自家消費率を高める:太陽光発電システムから発電した余剰なエネルギーを蓄電池に貯めておき、昼間や夜間に自宅で使用します。これにより、売電よりも自家消費の割合を高めることができます。自家消費率を高めることで、電気料金の節約や再エネ賦課金の軽減、CO2排出量の削減などのメリットがあります。
- 電力会社との契約容量を下げて節約する:電力会社との契約容量とは、一度に使用できる電力の上限値のことです。契約容量が大きいほど、基本料金が高くなります。蓄電池を使用することで、契約容量を下げても電力不足にならないようにすることができます。これにより、基本料金の節約ができます。
- 時間帯別電灯料金を利用して節約する:時間帯別電灯料金とは、時間帯によって電気料金が異なる制度のことです。一般的には、昼間よりも夜間や早朝の方が料金が安くなっています。蓄電池を使用することで、料金が安い時間帯に充電しておき、料金が高い時間帯に放電して使用することができます。これにより、電気料金の節約ができます。
非常時負荷型(停電時などに使用する)
非常時負荷型とは、停電時などに蓄電池から電気を使用するタイプです。
例えば、災害や事故などで商用電源が供給されなくなった場合です。非常時負荷型の特徴は以下の通りです。
- 容量が小さい:停電時には、最低限必要な家電や機器だけを使用することが多いです。そのため、容量が小さい蓄電池でも十分に対応できます。一般的には3kWh以下の容量が多いです。
- 出力が低い:停電時には、大きな消費電力を必要とする家電や機器は使用しないことが多いです。そのため、出力が低い蓄電池でも十分に対応できます。一般的には1kW以下の出力が多いです。
- 価格が安い:容量や出力が小さい分、価格も安くなります。一般的には100万円以下の価格帯が多いです。
非常時負荷型の蓄電池は、以下のような場面で利用されています。
- 災害や事故などで停電した場合に備える:災害や事故などで商用電源が供給されなくなった場合に、蓄電池から最低限必要な家電や機器に電気を供給します。例えば、冷蔵庫や照明、テレビやラジオ、スマートフォンやパソコンなどです。これにより、食品の腐敗や暗闇や寒暖差から身を守ることができます。また、テレビやラジオから災害情報を入手したり、スマートフォンやパソコンから連絡や情報収集を行ったりすることもできます。
- 太陽光発電システムと併用して蓄電池のみで電気を使用する:太陽光発電システムと蓄電池を組み合わせることで、商用電源に頼らずに蓄電池のみで電気を使用することができます。これは、オフグリッドと呼ばれる独立型の電力システムです。オフグリッドでは、商用電源の停電や料金の変動に影響されないため、安定した電力供給が可能です。また、再生可能エネルギーを活用することで、環境にも優しいです。
ピークシフト型(ピーク時に使用する)
ピークシフト型とは、ピーク時に蓄電池から電気を使用するタイプです。
例えば、夏場の冷房や冬場の暖房などで需要が高まる時間帯です。ピークシフト型の特徴は以下の通りです。
- 容量が中程度:ピーク時には、一時的に多くのエネルギーを使用することがあります。そのため、容量が中程度の蓄電池が適しています。一般的には5kWh~10kWhの容量が多いです。
- 出力が中程度:ピーク時には、大きな消費電力を必要とする家電や機器を使用することがあります。そのため、出力が中程度の蓄電池が適しています。一般的には3kW~5kWの出力が多いです。
- 価格が中程度:容量や出力が中程度な分、価格も中程度になります。一般的には100万円~200万円の価格帯が多いです。
ピークシフト型の蓄電池は、以下のような場面で利用されています。
- ピークカットや節電対策として利用する:ピークカットとは、ピーク時に使用する電力量を減らすことで、契約容量や基本料金を下げることを目的とした対策です。節電対策とは、ピーク時に使用する電力量を減らすことで、電気料金やCO2排出量を削減することを目的とした対策です。蓄電池を使用することで、料金が安い時間帯に充電しておき、料金が高い時間帯や需要が高まる時間帯に放電して使用することができます。これにより、ピークカットや節電対策が可能になります。
- 再エネ賦課金の軽減として利用する:再エネ賦課金とは、再生可能エネルギーの普及促進のために設けられた制度で、再生可能エネルギー発電事業者から買い取った電気代の一部を全国の消費者に負担させる仕組みです。再エネ賦課金は、契約容量や使用時間帯によって異なりますが、一般的には昼間よりも夜間や早朝の方が安くなっています。蓄電池を使用することで、料金が安い時間帯に充電しておき、料金が高い時間帯に放電して使用することができます。これにより、再エネ賦課金の軽減ができます。
②充電方式別に適した蓄電池を選ぶ
充電方式とは、蓄電池にエネルギーを供給する方法のことです。充電方式には、主に以下の2種類があります。
- 自家発電設備あり:太陽光発電など
- 自家発電設備なし:商用電源から充電
それぞれの充電方式に応じて、適した蓄電池の容量や出力、価格などが異なります。以下で詳しく見ていきましょう。
自家発電設備あり(太陽光発電など)
自家発電設備ありとは、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを利用して自らエネルギーを発生させる方法です。自家発電設備ありの特徴は以下の通りです。
- 容量が大きい:自家発電設備から発生するエネルギーは、気象や時間帯によって変動します。そのため、一度に多くのエネルギーを貯める必要があります。そのため、容量が大きい蓄電池が適しています。一般的には10kWh以上の容量が望ましいとされます。
- 出力が高い:自家発電設備から発生するエネルギーは、安定していません。そのため、急激な出力変動に対応できるようにする必要があります。そのため、出力が高い蓄電池が適しています。一般的には5kW以上の出力が望ましいとされます。
- 価格が高い:容量や出力が大きい分、価格も高くなります。一般的には200万円以上の価格帯が多いです。
自家発電設備ありの蓄電池は、以下のような場面で利用されています。
- 自家消費率を高める:自家消費率とは、自家発電設備から発生したエネルギーを自分で使用する割合のことです。自家消費率を高めることで、電気料金の節約や再エネ賦課金の軽減、CO2排出量の削減などのメリットがあります。蓄電池を使用することで、自家発電設備から発生した余剰なエネルギーを貯めておき、必要なときに使用することができます。これにより、自家消費率を高めることができます。
- オフグリッドにする:オフグリッドとは、商用電源に頼らずに蓄電池のみで電気を使用することです。オフグリッドでは、商用電源の停電や料金の変動に影響されないため、安定した電力供給が可能です。また、再生可能エネルギーを活用することで、環境にも優しいです。蓄電池を使用することで、自家発電設備から発生したエネルギーを貯めておき、商用電源に接続せずに使用することができます。これにより、オフグリッドにすることができるのです。
自家発電設備なし(商用電源から充電)
自家発電設備なしとは、商用電源からエネルギーを供給される方法です。自家発電設備なしの特徴は以下の通りです。
- 容量が小さい:商用電源からエネルギーを供給されるため、一度に多くのエネルギーを貯める必要はありません。そのため、容量が小さい蓄電池でも十分に対応できます。一般的には3kWh以下の容量が多いです。
- 出力が低い:商用電源からエネルギーを供給されるため、急激な出力変動に対応する必要はありません。そのため、出力が低い蓄電池でも十分に対応できます。一般的には1kW以下の出力が多いです。
- 価格が安い:容量や出力が小さい分、価格も安くなります。一般的には100万円以下の価格帯が多いです。
自家発電設備なしの蓄電池は、以下のような場面で利用されています。
- 非常用電源として利用する:停電時などに蓄電池から最低限必要な家電や機器に電気を供給します。例えば、冷蔵庫や照明、テレビやラジオ、スマートフォンやパソコンなどです。これにより、食品の腐敗や暗闇や寒暖差から身を守ることができます。また、テレビやラジオから災害情報を入手したり、スマートフォンやパソコンから連絡や情報収集を行ったりすることもできます。
- 時間帯別電灯料金や再エネ賦課金を利用して節約する:時間帯別電灯料金や再エネ賦課金は、前述した通りです。蓄電池を使用することで、料金が安い時間帯に商用電源から充電しておき、料金が高い時間帯や需要が高まる時間帯に放電して使用することができます。これにより、電気料金や再エネ賦課金の節約ができます。
おわりに
蓄電池は、エネルギーの有効活用や環境保護に貢献する技術ですが、その種類は一様ではありません。
自分のニーズや目的に合った蓄電池を選ぶためには、各種類の性能や特徴を理解することが重要です。
この記事では、鉛蓄電池・ニッケル水素電池・リチウムイオン電池・NAS電池の4種類を紹介しましたが、他にも様々な蓄電池が開発されています。今後も蓄電池の技術は進化し続けるでしょう。