ソーラーパネルと蓄電池を導入すると、電力料金を節約できるだけでなく、環境にも優しいとされていますが、本当にそうでしょうか?
実は、ソーラーパネルと蓄電池には、知らないと損するデメリットがあります。
この記事では、ソーラーパネルと蓄電池のメリットとデメリットを徹底的に解説し、それらを回避するための方法もお教えします。
1.ソーラーパネルのメリット
太陽光発電(ソーラーパネル)は、太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換する装置です。
自分で発電した電力を自家消費することで、電力会社から購入する電力量を減らすことができます。
また、余剰な電力を電力会社に売ることで、収入を得ることもできます。
太陽光発電には、以下のような3つのメリットがあります。
①電力料金の削減
太陽光発電の最大のメリットは、電力料金の削減です。
一般的に、ソーラーパネルの導入によって、年間約10万円程度の電力料金の削減が見込めると言われています。
また、時間帯別電灯料金制度(ピークシフト)を利用する場合、昼間に発電した安い電力を蓄えておいて、夜間に高い電力を使わずに済むことができます。
さらに、余剰な電力を売る場合も、需要が高く価格が高い時間帯に売ることで収入を増やすことができます。
具体的な計算例を見てみましょう。
東京電力のスタンダードSプランで契約しているとして、以下の条件で太陽光発電を導入した場合の節約効果を計算します。
- アンペア数:50A
- 太陽光発電容量:4.6kW
- 自家消費率:30%
- 現在毎月の電気使用量:606kWh
- 現在毎月の電気代:20,024円
この場合、太陽光発電によって自家消費できる電力量は、131kWhです。
これだけで、毎月3,921円の節約効果があります。
さらに、余剰な306kWhを売ることで、5,202円の収入が得られます。
これらを合計すると、毎月9,123円の節約効果があります。年間では109,476円になります。
このように、太陽光発電は、自家消費と売電の両方で電力料金を大幅に削減することができます
。ただし、節約効果は、現在の電気使用量や料金プラン、自家消費率や売電価格などによって異なります。
導入前には、自分の状況に合わせてシミュレーションすることが重要です。
②環境への貢献(非常用電源)
太陽光発電のもう一つの大きなメリットは、環境への貢献です。
太陽光発電は、再生可能なエネルギー源である太陽光を利用するため、化石燃料の消費や二酸化炭素の排出を抑えることができます。
日本では、2020年度に太陽光発電によって約3,600万トンの二酸化炭素が削減されたと推計されています。
これは、東京都の年間二酸化炭素排出量の約半分に相当します。
脱炭素社会の実現に向けて、太陽光発電は重要な役割を果たしています。
太陽光発電は、発電時に有害物質を含む排出ガスを出さないだけでなく、設置場所や用途によっては、他の環境問題にも対応できます。
例えば、屋根や壁に設置することで、建物の断熱効果や冷暖房負荷を低減したり、道路や駐車場に設置することで、アスファルトの表面温度やヒートアイランド現象を抑制したり、遠隔地や島嶼部に設置することで、送電ロスやディーゼル発電機の使用量を減らしたりすることができます。
また、太陽光発電は非常用電源としても利用できます。
災害時などには、停電しても「自立運転機能」に切り替えることにより、太陽光発電システムで作った電気を使用できます。
これは、ライフラインや通信手段を確保するために重要な機能です。
③住宅価値の向上
太陽光発電は、住宅の価値を高める要因の一つです。
ソーラーパネルが設置されている住宅は、設置されていない住宅よりも高値で売却される傾向があります。
これは、太陽光発電によって、上記で説明してような「電力料金の削減」と「環境への貢献(非常用電源)」のメリットがあるからです。
これらのメリットは、住宅購入者にとっても魅力的です。
特に近年では、エコロジー意識や災害対策意識が高まっており、太陽光発電付きの住宅への需要が増加しています 。
そのため、ソーラーパネルは住宅価値を向上させる効果的な手段と言えます。
2.ソーラーパネルのデメリット
太陽光発電には、以下のような3つのデメリットも存在します。
①日照条件への依存
ソーラーパネルの効率は日照量に大きく影響されます。
曇りや雨の日、夜間などは発電量が減少するため、連続して十分な電力を供給することが難しい場合があります。
特に冬場は日照時間が短くなりますし、積雪や霜でパネルが覆われる可能性もあります。
日本の平均的な日照時間は年間約1,900時間ですが、地域によっては1,500時間以下の場所もあります。
このデメリットを解決するためには、以下のような方法が考えられます。
- 蓄電池の導入:蓄電池は、発電した電力を貯めておくための装置です。蓄電池を利用することで、日照条件に左右されずに電力を自由に使うことができます。また、停電時にも電力を供給することができるため、災害時に備えることができます。
- 発電量予測システムの活用:発電量予測システムは、気象情報やパネルの特性などをもとにして、太陽光発電の発電量を予測するシステムです。発電量予測システムを活用することで、発電量の変動に対応した適切な運用計画や需要管理を行うことができます。
- パネルの清掃や保守:パネルの表面に汚れや積雪があると、発電効率が低下します。定期的にパネルの清掃や保守を行うことで、発電性能を維持することができます。
②導入コスト
ソーラーパネルのデメリットの一つは、導入コストが高額であることです。
ソーラーパネルは、パネル自体やパワーコンディショナーなどの機器の購入費用や、屋根への取り付けや配線などの工事費用などがかかります。
また、蓄電池を導入する場合は、さらに費用が増えます。
一般的に、家庭用のソーラーパネルの設置費用は、システム容量1kWあたり25~40万円程度といわれています。
システム容量とは、パネルが最大出力で発電できる時の電力量のことです。
平均的な家庭用ソーラーパネルのシステム容量は4.5kWとされています。
つまり、設置費用は約113~180万円になります。
このように、ソーラーパネルを導入するには多額の初期投資が必要です。
ただし、国や自治体から補助金や助成金が受けられる場合もあります 。
また、自家消費した分や売電した分で電気代を節約したり収入を得たりすることで、長期的に見れば元が取れる可能性もあります。
③空間の必要性
ソーラーパネルのデメリットの一つは、空間の必要性です。
ソーラーパネルは、発電量に応じて一定の面積が必要になります。
一般的に、1kW(キロワット)の発電能力を持つソーラーパネルは、約10平方メートルの面積が必要です。
つまり、10kW以上の発電能力を持つソーラーパネルを設置するには、100平方メートル以上の空き地や屋根が必要になります。
このデメリットを解決するためには、以下のような方法が考えられます。
- 屋根や壁に設置する:屋根や壁にソーラーパネルを設置することで、空き地を使わずに発電することができます。また、建物の断熱効果や冷暖房負荷を低減したり、建築物一体型としてデザイン性を高めたりすることもできます。
- 道路や駐車場に設置する:道路や駐車場にソーラーパネルを設置することで、未利用の空間を有効活用することができます。また、アスファルトの表面温度やヒートアイランド現象を抑制したり、道路標識や信号機などの電源として利用したりすることもできます。
- 両面パネルを使用する:両面パネルは、表面だけでなく裏面でも太陽光を受けて発電できるソーラーパネルです。両面パネルは、一般的なパネルよりも発電量が約10~30%増加します。また、パネルを立てた状態で設置することで、積雪や影の影響を軽減することもできます。
3.蓄電池のメリット
蓄電池とは、電気エネルギーを化学エネルギーとして貯めておき、必要なときに電気エネルギーに戻す装置です。
蓄電池には、さまざまな種類がありますが、一般的にはリチウムイオン電池や鉛蓄電池などが知られています。
蓄電池には、以下のような3つのメリットがあります。
①電力供給の安定化
蓄電池のメリットの一つ目は、電力供給の安定化です。
日本では、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー(再エネ)の導入が進められていますが、これらの発電方法は天候や時間帯によって出力が変動するため、電力の需給バランスを保つことが困難になります。
また、再エネは地域によって発電量が異なるため、送配電網の容量や効率にも影響を与えます。
そこで、蓄電池を利用することで、以下のような効果が期待できます。
- 需給調整:蓄電池は、発電量が多いときに余剰な電力を貯めておき、発電量が少ないときに放電して供給することで、需給調整を行うことができます。これにより、再エネの出力制御や停止を減らすことができます。
- ピークカット:蓄電池は、需要が高い時間帯に放電して供給することで、ピークカット(需要の最大値を下げること)を行うことができます。これにより、火力発電所などの高コストな発電設備の稼働率を下げることができます。
- 周波数調整:蓄電池は、周波数(交流電流の振動数)が変動したときに素早く充放電することで、周波数調整(周波数を一定に保つこと)を行うことができます。これにより、系統の安定性や品質を向上させることができます。
- 離島・遠隔地への送電:蓄電池は、本州や四国などの本土から遠く離れた島や山間部などへの送配電線の容量や効率を改善することができます。また、現地で再エネやディーゼル発電機などと組み合わせることで、自立的な分散型発電システムを構築することもできます。
②電力料金の最適化
蓄電池のメリットの二つ目は、電力料金の最適化です。
日本では、電力小売全面自由化により、様々な料金プランやサービスが提供されています。
しかし、これらの中から自分に合ったものを選ぶのは簡単ではありません。また、時間帯や季節によって電気料金が変動することもあります。
そこで、蓄電池を利用することで、以下のような効果が期待できます。
- 自家消費率の向上:自家消費率とは、太陽光発電などで発電した電力を自分で使う割合のことです。自家消費率が高いほど、電力会社から購入する電力量が減ります。蓄電池は、発電量が多いときに余剰な電力を貯めておき、発電量が少ないときに放電して供給することで、自家消費率を高めることができます。
- 電気料金プランの選択肢の拡大:蓄電池は、自分で発電した電力を自由に使うことができるため、様々な電気料金プランに対応することができます。例えば、時間帯別料金プランでは、夜間や休日などの安い時間帯に蓄電池へ充電し、昼間や平日などの高い時間帯に放電することで、ピークカット(需要の最大値を下げること)を行うことができます。また、契約容量制限プランでは、契約容量を超える需要が発生した場合に蓄電池から放電することで、超過料金を回避することができます。
- 離島・遠隔地への送配電コストの削減:蓄電池は、本州や四国などの本土から遠く離れた島や山間部などへの送配電コストを削減することができます。
③環境への貢献
蓄電池のメリットの三つ目は、環境への貢献です。蓄電池は、以下のような方法で環境に優しいと言われています。
- 化石燃料の使用量を減らす:蓄電池は、太陽光や風力などの再生可能エネルギー(再エネ)を効率的に利用することで、化石燃料の使用量を減らすことができます。化石燃料は資源の枯渇や二酸化炭素の排出などの問題を抱えていますが、再エネは無尽蔵かつクリーンなエネルギー源です。しかし、再エネは発電量が天候や時間帯によって変動するため、電力の需給バランスを保つことが困難になります。そこで、蓄電池を利用することで、発電量が多いときに余剰な電力を貯めておき、発電量が少ないときに放電して供給することで、需給調整を行うことができます。これにより、再エネの出力制御や停止を減らし、化石燃料の使用量を削減することができます。
- 環境負荷の低い材料を使用する:蓄電池は、カドミウムや鉛、水銀などといった物質が使用されていないことからも、環境負荷が低いと言われています。カドミウムや鉛、水銀などの物質はもともと自然界に存在しているので、自然環境そのものに大きな影響を与えるわけではありません。ですが、過剰に摂取すると生き物にとっては害をもたらす可能性があると言われています。その点、リチウムイオン電池の材料に使用されている主な物質は、リチウム、炭素、マンガン、ニッケル、コバルトなどで、これらは比較的環境負荷が低いとされています。
- リサイクル可能である:蓄電池はリサイクル可能であることも環境への貢献度を高める要因です。特にリチウムイオン電池は正極の材料として希少金属であるリチウムやコバルトが使われているため、リサイクル技術が確立すればそれらを有効に活用することができます4。しかし現在の技術では、まだリサイクルにかかるコストが高いことが課題です。今後は、より効率的で安全なリサイクル方法の開発が期待されます。
4.蓄電池のデメリット
蓄電池には、さまざまなメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。蓄電池には以下のような3つデメリットがあります。
①高価な初期費用
蓄電池のデメリットの一つ目は、高価な初期費用です。
蓄電池は、メーカーや容量、種類によって価格が異なりますが、一般的には100万円から300万円ほどかかります。
これに加えて、設置工事費や電気工事費も必要になります。
設置工事費や電気工事費は、設置場所や条件によって変わりますが、おおよそ20万円から30万円ほどです。
つまり、蓄電池を導入するためには、最低でも120万円から330万円ほどの初期費用が必要になるということです。
この高価な初期費用を回収するためには、以下のような条件が必要です。
- 電力会社からの売電収入が高いこと:蓄電池を利用することで、太陽光発電の余剰電力を自家消費することができます。自家消費することで、電力会社から購入する電力量を減らすことができます。しかし、自家消費するだけでは初期費用を回収するのは困難です。そのため、売電収入が高いことが望ましいです。しかし現在の売電価格は年々下落しており、今後も下がる可能性があります。そのため、売電収入だけで初期費用を回収するのは厳しいかもしれません。
- 離島・遠隔地での送配電コストが高いこと:蓄電池を利用することで、本州や四国などの本土から遠く離れた島や山間部などへの送配電コストを削減することができます。現地で再エネやディーゼル発電機などと組み合わせることで、自立的な分散型発電システムを構築することもできます。このように、送配電コストが高い地域では、蓄電池の導入効果が大きいと言えます。
- 非常用電源としての需要が高いこと:蓄電池を利用することで、停電時や災害時にも安定した電力供給を受けることができます。特に医療機関や福祉施設などでは、非常用電源としての需要が高いと言えます。また、自宅でも生活に必要な最低限の機器や照明を動かすことができます。このように、非常用電源としての需要が高い場合は、蓄電池の導入効果が大きいと言えます。
②蓄電容量が限定される
蓄電池のデメリットの二つ目は、蓄電容量が限定されていることです。
蓄電容量とは、蓄電池が一度に貯めることができる電気エネルギーの量のことで、単位はkWh(キロワットアワー)で表されます。
蓄電容量が大きいほど、多くの電力を貯めておくことができますが、その分コストや設置スペースも増えます。
また、消防法や建築基準法などの法律や規制によって、一般家庭に設置できる蓄電池の容量には上限があります。
消防法では、一般家庭に設置できるリチウムイオン蓄電池の容量は最大17.76kWhまでと定められています。
これは、リチウムイオン蓄電池が過充電や過放電などの異常時に発火や爆発する危険性があるためです。
また、建築基準法では、住宅用太陽光発電システムと連携した蓄電池の容量は最大20kWまでと定められています。
これは、住宅用太陽光発電システムの出力を制限するためです。
このように、蓄電池の容量は法律や規制によって制限されているため、自由に選ぶことができません。
また、現在市場に出回っている家庭用蓄電池の容量は概ね4~16.6kWhです。
これらの容量では、停電時や災害時に全ての家電製品を通常通り使用することは困難です。
例えば、冷蔵庫やテレビなどの必要最低限の家電製品を使用するだけでも、1日あたり約2~3kWhの消費電力が必要です。
したがって、蓄電池を使用する場合は、節約や優先順位を考える必要があります。
③メンテナンスの必要性
蓄電池のデメリットの三つ目は、メンテナンスが必要であることです。
蓄電池は、高温や湿度、埃などの外部環境に影響を受けやすく、性能や安全性が低下する可能性があります。
そのため、定期的に点検や清掃を行うことが推奨されています。
また、蓄電池は使用年数や充放電回数によって劣化していきます。
劣化すると、蓄電容量が減少したり、発熱や発火の危険性が高まったりします。そのため、寿命に近づいたら交換する必要があります。
蓄電池のメンテナンスや交換には、以下のような費用がかかります。
- 点検費用:数万円程度。ただし、無償保証期間内であれば無料となる場合もあります。
- 清掃費用:自分で行えば無料ですが、専門業者に依頼する場合は数千円から数万円程度かかります。
- 交換費用:蓄電池本体の価格(100万円から300万円程度)に加えて、工事費や処分費なども必要です。工事費や処分費は数万円から数十万円程度かかります。
5.ソーラーパネルと蓄電池の利用を検討する際のポイント
ソーラーパネルと蓄電池は、太陽光発電システムと組み合わせることで、電気代の節約や停電時の安心、環境負荷の低減などのメリットがあります。
しかし、ソーラーパネルと蓄電池を導入するには、それなりの費用やスペースが必要ですし、メンテナンスや交換も考えなければなりません。
そこで、ソーラーパネルと蓄電池を利用する際には、以下のポイントを押さえておくと良いでしょう。
①電力消費量の分析
ソーラーパネルと蓄電池を利用する目的は、自家発電した電気を無駄なく自家消費することです。
そのためには、自分の家庭の電力消費量を正確に把握することが重要です。
電力消費量は、時間帯や季節、家族構成や生活スタイルによって大きく変わります。
例えば、昼間に家にいる人が多い場合や、夏場にエアコンを多用する場合は、発電量よりも消費量が多くなる可能性があります。
逆に、昼間に家にいる人が少ない場合や、冬場に暖房を控えめにする場合は、発電量よりも消費量が少なくなる可能性があります。
電力消費量を分析する方法はいくつかありますが、一番簡単なのは、電気料金の明細を見ることです。
明細には、月ごとや時間帯ごとの使用量やピーク時の使用量などが記載されています。
これらのデータをもとに、自分の家庭の平均的な使用量や傾向を把握できます。
また、スマートメーターを導入している場合は、リアルタイムで使用量や発電量を確認できます。
スマートメーターは、インターネットやスマートフォンで操作できるため、より詳細な分析が可能です。
電力消費量を分析したら、次にソーラーパネルと蓄電池の容量や種類を選ぶ必要があります。
ソーラーパネルは、屋根の面積や方位、日照時間などによって発電量が変わります。
一般的には、1kWあたり4〜5枚のパネルが必要です。
蓄電池は、リチウムイオン型や鉛蓄電池型などがありますが、最近ではリチウムイオン型が主流です。
リチウムイオン型は高性能で小型化されていますが 、価格も高く寿命も短い傾向があります 。
蓄電池の容量は一般的に5〜10kWh程度です 。これらの容量や種類は、自分の家庭の使用量や目的に合わせて選ぶことが大切です。
②住んでいる地域の気象条件の考慮
ソーラーパネルと蓄電池を利用する際には、自分の住んでいる地域の気象条件を考慮することが重要です。気象条件には、日照時間や気温、降水量や風速などが含まれます。
これらの要素は、ソーラーパネルの発電量や蓄電池の効率に影響を与えます。
日照時間は、太陽光発電システムの発電量に直結する要素です。
日照時間が長いほど、多くの電気エネルギーを得ることができます。日本全国の平均年間日照時間は1897.4時間ですが、地域によって大きく差があります。
例えば、沖縄県では年間約2300時間、北海道では年間約1400時間 の日照時間があります。
このように、日照時間が多い地域では発電量も多くなりますが、その分ソーラーパネルや蓄電池の容量も大きくする必要があります。
気温は、ソーラーパネルや蓄電池の性能に影響を与える要素です。
一般的には、気温が高いほどソーラーパネルの発電効率は低下し 、蓄電池の充放電効率は向上します 。
逆に、気温が低いほどソーラーパネルの発電効率は向上し、蓄電池の充放電効率は低下します 。
このように、気温によってソーラーパネルや蓄電池の性能が変化しますので、自分の住んでいる地域の平均気温や季節変動を把握しておく必要があります。
降水量や風速は、ソーラーパネルや蓄電池の耐久性や安全性に影響を与える要素です。
降水量が多い地域では、ソーラーパネルに水滴や汚れが付着しやすく 、発電効率が低下したり故障したりするリスクが高まります。
また、風速が強い地域では、ソーラーパネルに強風や飛来物が当たりやすく 、損傷したり脱落したりするリスクが高まります。
このように、降水量や風速が高い地域では、ソーラーパネルや蓄電池の耐久性や安全性を確保するために、防水や防風などの対策が必要になります。
③メンテナンス計画の策定
ソーラーパネルと蓄電池を利用する際には、メンテナンス計画を策定することが重要です。
メンテナンス計画とは、太陽光発電システムの性能や安全性を維持するために、定期的に行う点検や清掃、修理や交換などの作業内容や費用、時期などをまとめたものです。
メンテナンス計画を策定することで、以下のメリットがあります。
- 発電量の低下や故障を防ぐことができます。
- 法律で義務付けられている点検を実施することができます。
- 予算やスケジュールを管理しやすくなります。
- 信頼できる業者と契約することができます。
メンテナンス計画を策定する際には、以下の点に注意してください。
- メンテナンスの対象機器や内容は、自分の太陽光発電システムの規模や状況に応じて選ぶ必要があります。
- 一般的なメンテナンスの対象機器や内容については、「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」を参考にしてください。
- メンテナンス費用の相場は、10kW未満の場合1回2万円程度ですが、パネルの設置枚数や屋根の角度、足場代や修理・洗浄費用などによって異なります。業者に見積もりを依頼する際には、詳細な内容や費用内訳を確認してください。
- メンテナンスの頻度と時期は、最初の点検は1年後が目安です。その後は最低でも4年に1度は点検を行うことが推奨されています 。また、自然災害や異常気象などがあった場合は臨時点検も必要です。
- メンテナンス業者は、信頼できる専門業者に依頼することが望ましいです。業者選びをする際には、以下のポイントを参考にしてください。
- 資格や実績を確認する:メンテナンス業者は、太陽光発電システムの設計・施工・保守点検に関する資格や認定を持っていることが望ましいです。例えば、一般社団法人日本電機工業会が認定する「太陽光発電システム保守点検技術者」や「太陽光発電システム保守点検業者」などです。また、メンテナンスの実績や評判も重要な判断基準です。同じ規模や種類の発電所のメンテナンスを行った経験や実績があるか、顧客満足度や口コミはどうかなどを確認してください。
- 見積もりや契約内容を比較する:メンテナンス費用は、業者によって大きく異なる場合があります。メンテナンスの内容や頻度、費用内訳などを明確にして、複数の業者から見積もりを取り寄せて比較してください。また、契約内容もしっかりと確認してください。契約期間や解約条件、責任範囲や保証内容などを明記した契約書を交わすことが必要です。
- アフターサービスや対応力を評価する:メンテナンス業者は、定期点検だけでなく、異常や故障が発生した際の対応力や迅速性も重要です。メンテナンス後のフォローアップや報告書の提出、故障時の駆けつけ時間や修理費用などを確認してください。また、メンテナンス業者とのコミュニケーションもスムーズに行えるかどうかも評価してください。
まとめ
ソーラーパネルと蓄電池は、エコロジーで経済的なエネルギー供給方法ですが、その一方でデメリットも存在します。
自身のニーズや環境に合わせて、適切な設計と計画を立てることで、効果的な太陽光発電システムの導入が可能です。
この記事では、ソーラーパネルと蓄電池のメリットとデメリットを徹底的に解説し、それらを回避するための方法もお教えしました。
この記事があなたの太陽光発電システムの導入に役立てば幸いです。