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エキノコックス対策の重要性:効果的な駆除法と予防策

エキノコックス対策の重要性:効果的な駆除法と予防策 学び

エキノコックスは、キツネやイヌなどの糞便に含まれる虫卵によって感染する寄生虫症です。

人に感染すると、肝臓や肺などに嚢胞ができて重篤な合併症を引き起こすことがあります。

なのでエキノコックスの駆除は重要であり、適切な予防対策が必要なのです。

この記事では、エキノコックスの駆除について詳しく解説します。

1.エキノコックスの駆除方法

エキノコックスは, 人間や動物に重大な健康被害をもたらす寄生虫の一種です。

ここでは, エキノコックスの駆除方法について, 終宿主と中間宿主の両方に対する対策を紹介します。

①終宿主に対する駆除方法

終宿主とは, エキノコックスの成虫が腸内に寄生する動物で, 主にキツネやイヌなどの食肉目です。

終宿主は, エキノコックスの虫卵を糞とともに排出し, 中間宿主や人間に感染させます。

そのため, 終宿主に対する駆除方法は, エキノコックスの感染源を減らすことを目的としています。

終宿主に対する駆除方法の一つは, プラジクアンテルという駆虫薬を混ぜた餌(ベイト)を散布する方法です。

プラジクアンテルは, エキノコックスの成虫を死滅させる効果があります。

ベイトは, キツネやイヌが好む食物(例えば肉やチーズ)にプラジクアンテルを混ぜて作ります。

ベイトを食べることによってキツネやイヌの身体に害はありません。

ベイトは, キツネやイヌが多く生息する場所や道路沿いなどに定期的に散布します。

この方法は, 北海道などで行われており, キツネの感染率を低下させる効果が報告されています 。

終宿主に対する駆除方法のもう一つは, ペットトラベルスキームなどの管理体制を導入する方法です。

ペットトラベルスキームとは, ペット(特にイヌ)を海外から日本に持ち込む際に, エキノコックスなどの寄生虫の検査や予防接種を義務付ける制度です。

この制度は, エキノコックスが流行している国からペットを持ち込むことで, 日本国内でエキノコックスが広がるリスクを減らすことを目的としています。

ペットトラベルスキームは, 2022年4月から日本でも施行されています。

②中間宿主に対する駆除方法

中間宿主とは, エキノコックスの幼虫が体内の臓器に寄生する動物で, 主に家畜や野生動物や人間です。中間宿主は, 終宿主から排出されたエキノコックスの虫卵を摂取することで感染します。

エキノコックスの幼虫は, 中間宿主の体内で大きな嚢胞(シスト)を形成し, 臓器の機能障害や破裂などの重篤な合併症を引き起こします。

そのため, 中間宿主に対する駆除方法は, エキノコックスの嚢胞を除去することを目的としています。

中間宿主に対する駆除方法の一つは, 外科的切除です。

外科的切除とは, エキノコックスの嚢胞を含む臓器や組織を手術で切除する方法です。

外科的切除は, エキノコックスの嚢胞が局所化している場合や, 嚢胞が大きくなって臓器の機能を圧迫している場合に有効です。

外科的切除は, エキノコックスの嚢胞を完全に除去することができるため, 再発のリスクを低減することができます。

中間宿主に対する駆除方法のもう一つは, 抗寄生虫薬です。

抗寄生虫薬とは, エキノコックスの幼虫に対して殺虫効果や成長抑制効果を持つ薬剤です。

抗寄生虫薬は, 外科的切除が困難な場合や, 嚢胞が多発している場合に有効です。

抗寄生虫薬は, エキノコックスの嚢胞の大きさや数を減らすことができるため, 症状の改善や合併症の予防に役立ちます。

現在日本では, アルベンダゾールという抗寄生虫薬がエキノコックス症の治療に用いられています。

2.エキノコックスの予防方法

エキノコックスの予防方法

エキノコックスの感染源は, 主にキツネやイヌなどの食肉目の動物です。

ここでは, エキノコックスの予防方法について, 感染源となる動物との接触を避ける, 手洗いや食物洗浄を徹底する, 生水や生野菜を摂取しない, 放し飼いをしないなどの予防策を紹介します。

①感染源となる動物との接触を避ける

エキノコックスは, キツネやイヌなどの終宿主から排泄された虫卵に汚染された水や食物, 埃などを経口的に摂取することで感染します。

そのため, 感染源となる動物との接触を避けることが重要です。具体的には, 以下のような対策があります。

  • 野犬や野生のキツネに近づかない
  • キツネを人家に近づけないよう, 生ゴミ等を放置せず, エサを与えたりしない
  • 犬も感染した野ネズミを食べて感染するため, 放し飼いをしない
  • ペットトラベルスキームなどの管理体制を導入し, 海外から持ち込むペットに対してエキノコックスの検査や予防接種を義務付ける

②手洗いや食物洗浄を徹底する

エキノコックスの虫卵は, 直径約0.03mmで肉眼では見えませんが, 十分な加熱や水洗いで感染を予防することができます。

手洗いや食物洗浄は, エキノコックスだけでなく, 他の寄生虫や細菌などの感染症も予防することができます。具体的には, 以下のような対策があります。

  • 野山などに出かけた後は, 石鹸を使ってしっかりと手を洗う
  • 衣服や靴についた泥をしっかりと落とす
  • 山菜や野菜, 果物などはよく洗ってから食べる. 可能なら加熱する

③生水や生野菜を摂取しない

エキノコックスの虫卵は, 沢や川などの生水や山菜などの生野菜に汚染されている可能性があります。

これらのものを摂取することで感染するリスクが高まります。具体的には, 以下のような対策があります。

  • 沢や川などの生水は飲まない. 煮沸してから飲むようにする
  • 山菜や野菜は生で食べる場合は十分に洗浄する. 可能なら加熱する
  • 生野菜サラダや生水氷などが提供される飲食店に注意する

3.エキノコックス駆除の効果や問題点

エキノコックス駆除の効果や問題点

エキノコックス駆除の効果を検証するために, キツネの糞からエキノコックスの虫卵の有無を調べる方法が用いられています。

北海道では, 駆虫薬を混ぜた餌(ベイト)を散布することで, キツネの感染率を低下させることができることが報告されています。

しかし, 駆虫薬散布によってエキノコックスを地域的に根絶することは困難であることも指摘されています。

散布間隔が長すぎたり, 散布を停止すると感染率は元に戻ること, すなわち効果を維持するためには散布の継続が必要なことが示されています。

エキノコックス駆除の問題点としては, ベイトの供給方法や散布方法, 散布地域の選定などが挙げられます。

現在日本ではプラジクアンテル含有のキツネ用ベイトは販売されておらず, 自ら調合して作らなければならないため, 労力や費用がかかります。

また, 自動車を用いた散布では道路周辺にしか散布できず, エキノコックスに感染したすべてのキツネに駆虫薬を与えるのが困難なことも問題です。

そのため, 近年北海道では小面積散布と呼ばれる方法も試みられています。

これは, 公園や大学などの小面積敷地の全域に高密度で毎月1回ベイト散布を行い, その敷地内のキツネの感染率をゼロに近づけることを目標とするものです。

この方法では, 敷地内で繁殖するキツネに対して効果的に駆虫薬を与えることができますが, 敷地外から感染したキツネが侵入する可能性もあります。

参考:駆虫薬散布によるエキノコックス終宿主対策

おわりに

エキノコックスは, 人間や動物に重大な健康被害をもたらす寄生虫であり, 重要な公衆衛生上の問題です。エキノコックスの感染は, 無症状で経過することが多く, 症状が出るまでには10年以上かかることもあります。

そのため, 早期発見が重要ですが, 駆除だけでなく予防も重要です。

予防方法としては, 感染源となる動物との接触を避ける, 手洗いや食物洗浄を徹底する, 生水や生野菜を摂取しない, 放し飼いをしないなどの対策があります。

また, 流行地域での生活歴や動物との接触歴がある方は, 血液検査を受けることをおすすめします。

エキノコックスは, 自分やペットの健康に影響するだけでなく, 社会全体にも影響する可能性があります。

エキノコックスの感染を防ぐためには, 個人だけでなく, 地域や国のレベルでも取り組む必要があります

。エキノコックスに関する正しい知識や情報を広めることも大切です。

この記事が, エキノコックスに関する理解や関心を深めるきっかけになれば幸いです。

最後に, エキノコックスの感染は決して他人事ではありません。

自分やペットの健康管理に気を付けましょう。エキノコックスに関する詳細な情報は, 以下のリンクからご覧ください。

[厚生労働省: エキノコックス症] [北海道立総合研究機構: エキノコックス症]

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