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メタバースの将来性とは?デジタル世界の可能性を探る

メタバースの将来性とは?デジタル世界の可能性を探る 学び

メタバースとは、インターネット上の仮想空間でアバターを通して活動できる世界です。

メタバースはゲームやエンターテイメントだけでなく、ビジネスや医療などにも応用できます。

メタバースは新型コロナウイルスの影響で注目が高まりました。

メタバースは現実世界の制約を超えて、新しい価値や可能性を生み出すことができますが、法律や倫理、セキュリティなどの課題もあります。

この記事では、メタバースの将来性について詳しく解説します。

1.メタバースの基本的な情報

メタバースとは、インターネット上に構築された仮想空間のことで、現実世界とは異なる体験やコミュニケーションができるサービスです。

メタバースは、ゲームやエンターテイメントだけでなく、教育やビジネスなど様々な分野での活用が期待されています。

ここでは、メタバースの基本理解として、定義や基本概念、代表的なプラットフォーム、アバター、仮想空間、経済活動などの要素について説明します。

①メタバースの定義と基本概念

メタバースという言葉は、「meta(超越した)」と「universe(宇宙・世界)」を合成した造語で、オンライン上に構築されたもう一つの世界のことを指します。

メタバースは、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、バーチャルワールドなどの技術を用いて作られた三次元の空間であり、利用者はアバター(自分の分身であるデジタルキャラクター)を操作して仮想空間内を自由に動き回ることができます。

また、メタバース空間内ではアバターを通じて他の利用者と交流するだけではなく、買い物や音楽フェスなどの娯楽や、ビジネス展示会やオフィスなどあらゆるコンテンツが存在しており、現実世界とほとんど変わらない行動が可能です。

メタバースには明確な定義は存在しないため、仮想空間を用いたゲームやSNSもメタバースの一種と考えられますが、一般的には以下のような特徴を持つものを指すことが多いです。

  • 空間性:三次元の空間の広がりのある世界
  • 自己同一性:自分のアイデンティティを投影した唯一無二の自由なアバターの姿で存在できる世界
  • 大規模同時接続性:大量の利用者がリアルタイムに同じ場所に集まることのできる世界
  • 創造性:プラットフォームによりコンテンツが提供されるだけでなく、利用者自身が自由にコンテンツを持ち込んだり創造できる世界
  • 経済性:利用者同士でコンテンツ・サービス・お金を交換でき、現実と同じように経済活動をして暮らしていける世界
  • アクセス性:スマートフォン・PC・AR/VRなど、目的に応じて最適なアクセス手段を選ぶことができ、物理現実と仮想現実が垣根なくつながる世界
  • 没入性:アクセス手段の一つとしてAR/VRなどの没入手段が用意されており、まるで実際にその世界にいるかのような没入感

②代表的なメタバースプラットフォームの紹介

メタバースプラットフォームとは、メタバースを提供するサービスやアプリのことです。

メタバースプラットフォームには様々な種類がありますが、ここでは日本国内と海外の代表的なものを紹介します。

日本国内のメタバースプラットフォーム

  • Cluster:日本最大級のメタバースプラットフォームで、スマートフォン・PC・VR機器などさまざまな媒体に対応しています。ユーザー同士で交流するほか、ワールドの作成やイベントへの参加など、さまざまな活動が可能です。
  • My Crypto Heroes:日本生まれのオンラインゲームで、歴史上の人物をモチーフにしたキャラクターを集めて、ユーザー同士で戦わせます。ゲームをしながら稼げる点も特徴的です。
  • REALITY:海外での人気も高まっている日本生まれのメタバースプラットフォームで、コミュニケーションがメインのつくりになっています。ワールドの作成やバーチャルイベントの開催が盛んです。
  • あつまれ どうぶつの森:Nintendo Switchのゲームソフトで、無人島での生活を自由に楽しめます。家具を作り、野菜を育て、お金を稼いでとさまざまな要素が詰まっています。企業コラボコンテンツも多く展開されています。
  • ポケモンGO:日本生まれの大人気ゲーム「ポケットモンスター」のスマートフォン向けゲームアプリで、現実世界とポケモンの世界がリンクしています。現実の世界を移動しながらポケモンを捕獲して遊びます。

海外のメタバースプラットフォーム

  • VRChat:アメリカの企業「VRChat Inc.」が運営するプラットフォームで、多人数での交流ができます。文字でのチャットは不可で、交流は全てボイスチャットになります。アイテムの売買などバーチャルな取引が活発に行われています。
  • ROBLOX:ユーザーが自作ゲームを公開できるプラットフォームです。ゲームがワールドやコミュニケーションのようなツールとして存在する点が非常にユニークです。海外での人気が非常に高く、大手スポーツブランド「NIKE」がROBLOX内にワールドを作成したことも話題になりました。
  • Zepeto:韓国企業「NEVER Z」が運営するメタバースプラットフォームで、自分そっくりのアバターを作成し、ユーザー同士で写真を撮影するなどの楽しみ方が可能です。メタバース内でアイテムを購入し、自分のアバターの外見をさまざまに変化させることもできます。
  • Decentraland:ブロックチェーン技術を用いたメタバースプラットフォームで、仮想空間内の土地やアイテムを仮想通貨で売買できます。ユーザーは自分の土地に自由にコンテンツを作成したり、他のユーザーの土地を訪れたり、ゲームやアートなどの体験ができます。仮想空間内の所有権や経済活動はブロックチェーンによって保証されています。
  • Facebook Horizon:世界最大のSNSプラットフォームであるFacebookが開発中のメタバースプラットフォームで、VR機器「Oculus Quest」を使ってアクセスできます。ユーザーは自分のアバターをカスタマイズし、友達とチャットしたり、ゲームやアートなどのコンテンツを楽しんだり、自分でワールドを作成したりできます。Facebookの既存のサービスとも連携しています。

③メタバース内のアバター、仮想空間、経済活動などの要素について

メタバース内では、現実世界と同じようにさまざまな要素が存在します。

ここでは、メタバース内のアバター、仮想空間、経済活動などについて説明します。

  • アバター:アバターとは、メタバース内で自分の分身となるデジタルキャラクターのことです。アバターは自分の好みや個性に合わせてカスタマイズすることができます。例えば、顔や髪型、服装やアクセサリーなどを変えたり、人間以外の姿にしたりすることができます。アバターはメタバース内で他のユーザーと交流する際に重要な役割を果たします。アバターは自分の表情や声調、ジェスチャーなどを使って感情や意思を伝えることができます。また、アバターは自分の好きな場所に移動したり、さまざまなコンテンツに参加したりすることができます。
  • 仮想空間:仮想空間とは、メタバース内で存在する三次元の空間のことです。仮想空間は現実世界にある場所を再現したものだけではなく、オリジナルの場所やファンタジーの場所などもあります。仮想空間はプラットフォームごとに異なるデザインや機能を持っていますが、一般的には以下のような特徴があります。
  • ワールド:仮想空間は複数のワールド(部屋)に分かれており、各ワールドは特定のテーマや目的に沿って作られています。例えば、ショッピングモールやカフェ、学校やオフィス、ゲームやアートなどのワールドがあります。ワールドはプラットフォームが提供するものだけではなく、ユーザーが自分で作成したり、他のユーザーが作成したものを利用したりすることもできます。
  • ポータル:仮想空間内でワールド間を移動する際に使う入り口のことです。ポータルはワールド内に設置されており、ポータルに触れると別のワールドに移動できます。ポータルは自分で作成したり、他のユーザーが作成したものを利用したりすることもできます。
  • オブジェクト:仮想空間内に存在する物体のことです。オブジェクトには家具や食器、植物や動物などさまざまな種類があります。オブジェクトはワールドの雰囲気や機能を決める要素となっています。オブジェクトは自分で作成したり、他のユーザーが作成したものを利用したりすることもできます。
  • 経済活動:経済活動とは、メタバース内で行われるお金や物品の交換のことです。経済活動は現実世界と同じようにメタバース内で生活するために必要な要素です。経済活動には以下のような特徴があります。
  • 仮想通貨:メタバース内で使われるお金のことです。仮想通貨はプラットフォームごとに異なる種類や名称を持っていますが、一般的には現実世界の通貨と交換することができます。仮想通貨はメタバース内でアイテムやサービスを購入したり、他のユーザーに送金したりすることができます。
  • NFT:メタバース内で存在するデジタルコンテンツ(アバター・オブジェクト・ワールド・アート・音楽など)の所有権を証明するトークンのことです。NFTはブロックチェーン技術を用いて作られたもので、各コンテンツは唯一無二の存在として認められます。NFTはメタバース内で売買したり、他のプラットフォームに持ち込んだりすることができます。
  • メタバース経済圏:メタバース内で行われる経済活動全体を指す言葉です。メタバース経済圏は現実世界の経済圏とは異なる特徴や規模を持っています。メタバース経済圏では、現実世界では不可能なコンテンツやサービスが提供されたり、新しい価値観やニーズが生まれたりします。

2.メタバースの現状分析

メタバースの現状分析

メタバースは、技術の進展とサービス開発によって、世界市場が急速に拡大している分野です。

ここでは、メタバースの現状分析を行い、企業の参入と投資状況の観点からの展望を述べます。

また、ユーザーの活動とエンゲージメントの背後にある要因についても考察します。

①メタバースの現在の状況と成長傾向

メタバースの世界市場は2021年に4兆2,640億円だったものが2030年には78兆8,705億円まで拡大すると予想されています。

メディアやエンターテインメントだけではなく、教育、小売りなど様々な領域での活用が期待されています。

メタバースにおける主要なプレイヤーとしては、Facebook、Microsoft、Epic Gamesなどが挙げられます。Facebookは2021年10月に社名をMetaに変更し、メタバース事業に注力することを宣言しました。

Microsoftは2021年3月にMeshというメタバースプラットフォームを発表しました。

Epic Gamesは2020年12月に10億ドルの資金調達を行い、メタバース構築に向けた技術開発を加速させています。

日本でもメタバースに関心が高まっており、2021年度の国内メタバース市場規模は744億円と予測されています。

2026年度には市場規模が1兆円を超える見通しです。日本企業の中では、ソニーグループやNTTドコモなどがメタバース事業に参入しています。

②企業の参入と投資状況の観点からの展望

メタバースは、新たなビジネスチャンスや競争力強化のために多くの企業が参入しようとしています。

しかし、メタバース事業には高度な技術力や大規模な資本投下が必要であり、単独で成功することは難しいと考えられます。

そのため、異業種や異分野のコラボレーションが重要な戦略となります。

例えば、FacebookはRay-Banと提携してスマートグラスを発売しました。

MicrosoftはMeshを通じてポケモンやマインクラフトなどの人気コンテンツと連携しています。

Epic GamesはUnreal Engineというゲーム開発エンジンを提供しており、多くのクリエイターや企業がメタバースコンテンツを作成することを支援しています。

また、メタバース事業には多額の投資が必要であり、多くの企業が資金調達を行っています。

例えば、Robloxは2020年12月に5.2億ドルの資金調達を行い、2021年3月には株式公開を行いました。Nianticは2021年1月に2億ドルの資金調達を行いました。

Rec Roomは2021年3月に1億ドルの資金調達を行いました。

③ユーザーの活動とエンゲージメントの背後にある要因

メタバースにおけるユーザーの活動とエンゲージメントは、様々な要因によって影響を受けます。

ここでは、主な要因として以下の3点を挙げます。

ユーザーのニーズや目的の多様化

メタバースは、ユーザーが自由に仮想空間を移動したり、様々なサービスを利用したりすることができるため、ユーザーのニーズや目的に応えることができます。

例えば、メタバースでは以下のような活動が可能です。

  • エンターテインメント:ゲームや音楽、映画などのコンテンツを楽しんだり、有名人やキャラクターと交流したりすることができます。
  • 教育:学校や教室、図書館などの仮想空間で学習したり、実際に存在しない場所や時代に訪れたりすることができます。
  • 小売り:仮想空間で商品を試着したり、購入したりすることができます。
  • 旅行:世界中の観光地や名所を訪れたり、現地の文化や風景を体験したりすることができます。

これらの活動は、ユーザーが自分の好みや興味に合わせて選択したり、カスタマイズしたりすることができるため、ユーザーのエンゲージメントを高める効果があります。

ユーザーのコミュニケーションやコラボレーションの需要

メタバースは、ユーザーがアバターを通じて他者とコミュニケーションやコラボレーションを行うことができるため、ユーザーの社会的な需要に応えることができます。

例えば、メタバースでは以下のような活動が可能です。

  • 友人や家族との交流:仮想空間で友人や家族と会話したり、一緒にゲームやショッピングなどを楽しんだりすることができます。
  • 新しい人との出会い:仮想空間で同じ趣味や関心を持つ人と出会ったり、コミュニティに参加したりすることができます。
  • 仕事やプロジェクトの協力:仮想空間で同僚やパートナーと協力して仕事やプロジェクトを進めたり、プレゼンテーションやデモンストレーションを行ったりすることができます。

これらの活動は、ユーザーが仮想空間で自分の感情や意見を表現したり、他者との関係を築いたりすることができるため、ユーザーの満足度や忠誠度を高める効果があります。

ユーザーの創造性や表現性の発揮

メタバースは、ユーザーが自分の創造性や表現性を発揮することができるため、ユーザーの個性や自己実現に応えることができます。

例えば、メタバースでは以下のような活動が可能です。

  • アバターやオブジェクトのカスタマイズ:ユーザーは自分の好きなアバターやオブジェクトを作成したり、既存のものを変更したりすることができます。アバターやオブジェクトはユーザーの個性や趣味を反映することができます。
  • ワールドやコンテンツの作成:ユーザーは自分の好きなワールドやコンテンツを作成したり、他のユーザーに公開したりすることができます。ワールドやコンテンツはユーザーの創造力や才能を発揮することができます。
  • NFTの取引:ユーザーは自分が作成したデジタルコンテンツ(アート・音楽・ゲームなど)をNFTとして売買したり、他のユーザーが作成したNFTを購入したりすることができます。NFTはユーザーの表現力や価値観を示すことができます。

これらの活動は、ユーザーがメタバース内で自分らしく生きることができるため、ユーザーのエンパワーメントや参加意欲を高める効果があります。

3.メタバースの将来的な可能性

メタバースの将来的な可能性

ここでは、メタバースの将来的な可能性について、教育と学習、ビジネスと労働、エンターテイメントと文化、ソーシャルインタラクションの4つの観点から考察します。

①教育と学習の進化

メタバースは、教育と学習において、以下のような可能性を提供します。

  • 仮想教室や学習空間の創造:メタバースでは、現実世界にある教室や学校を再現するだけでなく、オリジナルの教室や学習空間を作成することができます。例えば、宇宙や海底などの特殊な環境で授業を行ったり、歴史上の人物や場面に触れたりすることができます。また、教師や生徒は自分の好きなアバターを選んだり、教材やツールをカスタマイズしたりすることができます。これにより、教育と学習の体験がより豊かで楽しいものになります。
  • 跨学科的な学びの促進:メタバースでは、様々な分野や領域の知識やスキルを統合的に学ぶことができます。例えば、数学や物理学といった基礎科学から芸術や音楽といった創造的な分野まで、メタバース内で関連するコンテンツや活動に参加することができます。また、メタバース内では様々な人々と出会うことができるため、異文化や多様性に対する理解や共感も深めることができます。これにより、教育と学習の効果がより高まります。

②ビジネスと労働の変容

メタバースは、ビジネスと労働において、以下のような可能性を提供します。

  • リモートワークの更なる発展:メタバースでは、現実世界にあるオフィスや会議室を再現するだけでなく、オリジナルのオフィスや会議空間を作成することができます。例えば、自然や都市などの好きな風景を背景にしたり、アイデアやデータを視覚的に表現したりすることができます。また、同僚やクライアントは自分の好きなアバターを選んだり、声や表情を変えたりすることができます。これにより、リモートワークの体験がより快適で効率的なものになります。
  • 仮想オフィスとチームコラボレーション:メタバースでは、仮想オフィスを作成し、チームメンバーやパートナーと常に繋がっていることができます。仮想オフィスでは、チャットやビデオ通話だけでなく、ドキュメントやプロジェクト管理ツールなども共有できます。また、仮想オフィスでは、チームビルディングやフィードバックなどの活動も行うことができます。これにより、チームコラボレーションの効果がより高まります。

③エンターテイメントと文化の革新

メタバースは、エンターテイメントと文化において、以下のような可能性を提供します。

  • バーチャルコンサートやイベントの拡大:メタバースでは、有名なアーティストやセレブリティが仮想空間でコンサートやイベントを開催することができます。例えば、トラビス・スコットは2020年4月にフォートナイト内でバーチャルコンサートを行い、2700万人以上の視聴者を集めました。また、メタバースでは、観客も自分のアバターを使って参加したり、歌ったり、踊ったりすることができます。これにより、エンターテイメントの体験がより没入的で楽しいものになります。
  • デジタルアートとクリエイティブ表現の新たな舞台:メタバースでは、デジタルアートやクリエイティブ表現の作品を展示したり、販売したりすることができます。例えば、ビープルは2021年3月にNFTとしてデジタルアート作品「EVERYDAYS: THE FIRST 5000 DAYS」をオークションに出品し、6.9億円以上の値段で落札されました。また、メタバースでは、観賞者も自分のアバターを使って作品に触れたり、感想を伝えたりすることができます。これにより、デジタルアートやクリエイティブ表現の価値や魅力がより高まります。

④ソーシャルインタラクション(社会的相互作用)の進化

メタバースは、ソーシャルインタラクション(社会的相互作用)において、以下のような可能性を提供します。

  • バーチャルでのリアルタイムコミュニケーション:メタバースでは、自分のアバターを使って他のユーザーとリアルタイムにコミュニケーションすることができます。メタバースでは、テキストや音声だけでなく、表情やジェスチャーなども使って感情や意思を伝えることができます。また、メタバースでは、現実世界では難しい距離や時間の制約を超えてコミュニケーションすることができます。これにより、ソーシャルインタラクションの質や量がより向上します。
  • 新たな友人やコミュニティとの出会い:メタバースでは、自分の好きなワールドやコンテンツに参加することで、同じ趣味や関心を持つ人と出会うことができます。メタバースでは、自分のアイデンティティや個性を自由に表現することができるため、より親密な関係を築くことができます。また、メタバースでは、様々な文化や背景を持つ人と出会うことができるため、多様性や包容性に対する理解や共感も深めることができます。これにより、ソーシャルインタラクションの幅や深さがより拡大します。

4.課題と調整が必要なポイント

課題と調整が必要なポイント

メタバースは、インターネット上の仮想空間のことで、現実世界とは異なる体験やビジネスの可能性を提供するものです。

しかし、メタバースには様々な課題や調整が必要なポイントもあります。今回は、その中から以下の3つについて解説します。

①プライバシーとセキュリティの懸念

メタバースでは、アバターや仮想オブジェクトなどのデジタルアイデンティティを通じて自己表現やコミュニケーションを行います。

しかし、これらのデジタルアイデンティティは、個人情報や財産権などの重要な権利に関わるものでもあります。

したがって、メタバース上でのプライバシーとセキュリティの保護は、ユーザーの信頼や安心に直結する重要な課題です。

プライバシーとセキュリティに関する懸念としては、以下のようなものが挙げられます。

  • メタバース上で収集されるユーザーの行動データや生体情報などが、運営者や第三者によって不正に利用されたり、漏洩したりする恐れがある。
  • メタバース上で発生する犯罪やトラブル(例えば、詐欺、盗難、暴力、セクシャルハラスメントなど)に対して、適切な対応や救済が行われるかどうかが不明確である。
  • メタバース上で使用される仮想通貨や仮想資産などが、安全かつ公正に管理されているかどうかが不透明である。

これらの懸念に対処するためには、メタバース運営者や参加者が協力して、以下のような取り組みが必要です。

  • メタバース上で収集されるデータに関する透明性や個人情報保護のルールを明確にし、ユーザーに十分な同意や選択肢を与えること。
  • メタバース上で発生する犯罪やトラブルに対しては、迅速かつ適切な対応や救済を行う仕組みを整備し、ユーザーに周知すること。
  • メタバース上で使用される仮想通貨や仮想資産に関しては、安全性や流動性を確保するために、適切な規制や監督を受けること。

②デジタル格差の解消への取り組み

メタバースは、現実世界では困難だった多様な人々との交流や協働を可能にするものです。

しかし、メタバースへのアクセスや参加には、高度なITスキルや高性能なデバイスやインフラが必要です。

このことは、メタバースへの参加者間にデジタル格差を生む可能性があります。

デジタル格差によっては、以下のような問題が発生する恐れがあります。

  • メタバースへの参加が、所得や地域、年齢や性別などによって制限されることで、メタバース上での機会や利益の不平等が生じる。
  • メタバースへの参加が、現実世界での社会的なつながりや活動に影響を与えることで、メタバース上と現実世界との間に乖離や断絶が生じる。
  • メタバースへの参加が、個人の自己認識や価値観に影響を与えることで、メタバース上と現実世界との間に認知的な食い違いや摩擦が生じる。

これらの問題を防ぐためには、メタバースへのアクセスや参加をより容易かつ公平にするための取り組みが必要です。

具体的には、以下のような取り組みが考えられます。

  • メタバースへのアクセスや参加に必要なデバイスやインフラの普及や低価格化を促進すること。
  • メタバースへのアクセスや参加に必要なITスキルや知識の教育や啓発を行うこと。
  • メタバースへのアクセスや参加に関するガイドラインやエチケットを策定し、ユーザーに周知すること。

③規制と法的な課題への対応

メタバースは、現実世界とは異なる仮想空間であるため、現実世界で適用される法律や規制がそのまま適用されるわけではありません。

しかし、メタバース上で行われる活動は、現実世界での権利や義務に影響を与える場合もあります。

したがって、メタバース上での活動に関する法的なルールや枠組みを整備することは、重要な課題です。

規制と法的な課題に関しては、以下のようなものが挙げられます。

  • メタバース上で発生する紛争やトラブルに対して、どの国や地域の法律を適用するか、どの裁判所や仲裁機関が管轄するかが不明確である。
  • メタバース上で使用される仮想通貨や仮想資産に関して、どのような税務上の取扱いをするか、どのような金融規制に従うかが不明確である。
  • メタバース上で作成される仮想オブジェクトやコンテンツに関して、どのような知的財産権を認めるか、どのような侵害行為を禁止するかが不明確である。

これらの課題に対応するためには、メタバース運営者や参加者だけでなく、政府や国際機関なども協力して、以下のような取り組みが必要です。

  • メタバース上で発生する紛争やトラブルに対しては、国際的な法的な協定や規範を策定し、メタバース運営者や参加者がそれに従うことを義務付けること。また、メタバース内に専門的な紛争解決機関や仲裁機関を設置し、迅速かつ公正な審査や裁定を行うこと。
  • メタバース上で使用される仮想通貨や仮想資産に関しては、各国の税務当局や金融監督機関と協力し、適切な申告や課税、規制や監督を行うこと。また、メタバース内に消費者保護や投資者教育のための情報提供や相談窓口を設置し、リスクや不正の防止に努めること。
  • メタバース上で作成される仮想オブジェクトやコンテンツに関しては、知的財産権の保護や侵害の禁止に関する国際的な条約や規則を遵守し、メタバース運営者や参加者がそれに従うことを義務付けること。また、メタバース内に知的財産権の登録や管理、紛争解決のための機関やシステムを設置し、効率的かつ公平な処理を行うこと。

おわりに

この記事では、メタバースの基本理解、現状分析、将来的な可能性、課題と調整が必要なポイントについて解説しました。

メタバースへの期待は高まっていますが、同時に注意点もあります。

プライバシーとセキュリティの保護、デジタル格差の解消、規制と法的な対応などの課題に対して、適切な取り組みを行う必要があります。

メタバースは、個人や社会の未来に向けて、新たな価値や魅力を創造することができます。

メタバースに関心がある方は、最新の情報をチェックしながら自分なりの見解や考察を深めてみてください。

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